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GDP3位の日本は、まだ「経済大国」と言えるのか?元日銀副総裁がわかりやすく解説

私は経済学者として国内外の大学で教鞭をとったりした後、’13~’18年には日本銀行副総裁として金融政策の立案にも携わりました。そこで、感じたのは「経済を知れば、生活はもっと豊かになる」ということ。そのお手伝いができればと思い、『週刊SPA!』で経済のカラクリをわかりやすく発信していきたいと考えました。

GDP3位の日本は、まだ「経済大国」と言えるんでしょうか?

経済オンチの治し方

イラスト/岡田 丈

 ’22年の日本のGDP(ドルベース)は世界第3位ですが、第4位のドイツを3.9%上回っているだけです。そのわずかな差のせいで、「抜かれる」と報じるメディアもありました。しかし、IMF(国際通貨基金)の予測でも’28年まで抜かれる心配はありません。  そもそも、豊かさや幸福度を見るうえでは、GDPよりも、国民の数で割った「一人当たりGDP」のほうが重要です。国際的な研究組織が発表している「世界幸福度調査」でも、一人当たりGDPが幸福度に影響する主たる要因として取り上げられています。  中国のGDPは世界第2位ですが、一人当たりGDPは76位で、日本の4割程度にすぎません。中国には富豪もおり、訪日中国人は爆買いしていますが、平均的には貧しい国なのです。  しかし、日本の一人当たりGDPも、1996年の17位から’22年には38位まで下がってしまいました。’18年には韓国に、’21年にはチェコにも抜かれています。
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東京大学大学院経済研究科博士課程退学。上智大学名誉教授、オーストラリア国立大学客員研究員などを経て、’13年に日本銀行副総裁に就任。’18年3月まで務め、日本のデフレ脱却に取り組んだ経済学の第一人者。経済の入門書や『「日本型格差社会」からの脱却』(光文社)、『自由な社会をつくる経済学』(読書人)など著書多数

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