原発依存から抜け出せない国に未来はない
―[短期集中連載]―
― 孫正義氏設立の財団アドバイザーが提言 ―
「12年に原発を全部止めたほうが得をする!!」(3)
これまで、自然エネルギーは「コストが高い」「不安定」などの理由で、エネルギー供給の主流にはなれないと言われてきた。
「それは一昔前の話です。今や自然エネルギー市場は大きなビジネスチャンスの場となり、05~10年の間に風力発電の設備容量は255%、太陽光発電は1000%を超える伸びを記録しました。コストもどんどん下がっているし、固定価格買い取り制度(FIT)など、各国で自然エネルギー推進の政策がとられ始めています。ドイツは昨年、240万kWの太陽光発電を4週間で導入しました。これまで日本は、自治体への補助金や研究費など、原発のために多くのお金をつぎ込んできました。今後は、自然エネルギーにお金を使うべき。一方、化石燃料は今後どんどん値上がりし、50年には石油が約2倍、天然ガスが約4倍の価格になると予測されています」
テスケ氏は「原発依存から抜け出せない国に未来はない」と断言。
「日本は今まで多くの環境技術の分野で世界のトップを争ってきたんです。しかし、国のサポートがほとんどなかったため、外国に追い抜かれてしまいました。日本は、環境技術において世界のリーダーになれる力を持っています。このままでは、世界からどんどん取り残されてしまう。ドイツのことわざに『貧しさは革新をもたらす』というものがあります。苦しいときだからこそ進歩ができる。原発事故は絶対に起きてほしくなかった事態ですが、これをきっかけに新たな道に踏み出すべきです」
このシナリオを実現するには、何が必要なのだろうか?
「まず、自然エネルギーと省エネ推進のしくみを作ること。国を挙げて進めなければ不可能でしょう。政治的決断力が必要です」
【スベン・テスケ氏】


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