雑学

日本-ギリシャ戦をナタウの地元民が多い席で観戦してみた

 19日、ナタウ「アレーナ・ダス・ドゥナス」で行われた日本×ギリシャの試合は0−0で終わった。日本は退場によって1人少なくなったギリシャを圧倒的に攻めながらゴールマウスを割れず、痛恨のドローとなった。

 この試合を記者は日本サポーターが多数を占めたスタンドとは反対側の、どちらかといえば地元のブラジル人が多い、最も安い席(90ドル)で観戦した。この席は仮設スタンド席となっており、階段を登るたびグラグラ揺れるのがちょっと怖い。

 日本代表が第1戦を戦ったレシーフェと比べ、試合が始まる前からスタジアム内のテンションが高く、ブラジル人の観客には、家族連れが目立った。この日もブラジル人観客には「日の丸ハチマキ」をした人が多く、なかには上下逆さまにした人もいたので、記者は正しい向きを教えてあげたり、また書いてある文字の意味を教えたりして、交流を深めた。

 試合前には小雨がぱらつき蒸し暑くなるなど、熱帯地域ならではの天候。こちらの人は突然の雨にも慌てることなくカッパ(こちらでもカッパという)を持参していて、さっと身にまとっていた。

 試合が始まると、ピッチを挟んで反対側の日本応援団のコールに合わせて手拍子と「ニッポン、ニッポン!」の大合唱。こちら側にもギリシャサポーターがおり、野球の応援のようにトランペットを鳴らしていたのだが、それをかき消すような大声援を送るのだ。

⇒【写真】はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=666461

 しかし、試合は前半から重たい展開。パスは繋がるも攻める場面はなし。10分をすぎたあたりから、いきなりブラジル人たちは頻繁にウェーブを始めた。W杯の舞台にテンションが上がっているのか、試合がつまらないのかは判断つきかねるが、ブラジル人を讃える歌が自然発生したりと満喫し放題。

 時間が進むにつれ増えるギリシャのラフプレーや、倒れこんでの遅延行為などには容赦なくブーイングをするも、日本の拙攻にも同様のブーイングが起こった。

日本-ギリシャ戦、ナタウの地元民

記者の座席の前は格好の記念撮影ポイント。ゲイシャガールズは可愛くてよかったのだが……

 後半になると、試合中にも関わらず、ピッチを見渡せる通路に立っては、ひっきりなしに記念撮影をしたり、ゲームに集中している記者に声をかけてきては、記念撮影をせがんだりする人が続出。香川選手の交代投入では大きな拍手が起きたが、大久保選手の決定的なシュートがゴールを大きく外れると、大きな笑いが起き、記者の座席の前のブラジル人男性は親指を下に向けながら呆れた表情。

 日本がパスを回し、一方的な展開になるも、シュートにはなかなか至らない。後ろの席の子供が「眠いよー。眠いよー。試合、まだ終わらないの?」とお父さんに聞く声が耳に痛い。アメリカ人男性グループには「日本は、シュートではなくパスをしにきたのかい?」と聞こえよがしに言われたりと、スタジアムのフラストレーションは頂点に。

 そして試合終了――。得点なき試合は、大金を払って観戦に来た地元の人にとっては不満だったらしく、ホイッスルとともに大きなブーイングが起きた。

「ギリシャがあんなにゴールに鍵をかけてちゃ仕方ないよ」「日本は良いゲームをしたよ」と帰りぎわ、様々なブラジル人に声を掛けられたが、「得点が無いゲームはつまらない。日本はチャンスがあった」とはっきり言う人もいて、少し肩身の狭い思いもした記者。

「今日は(日本に)サッカーの神様がいなかった。次はいるといいね」。知り合いのブラジル人はそう言って慰めてくれた。自薦の地、クイアバには神様はいるのだろうか?

 周辺が未完成ゆえスタジアムに至る道路や環境にいささか難があったが、いざ試合当日となると大量の警察官やボランティアの動員により、入退場ともに大きな混乱もなくスムーズに運営されたといっていいだろう。

<取材・文・撮影/遠藤修哉(本誌)>




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