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女のコが必ず「泊まりたい」と言いたくなる名旅館

― 木村和久の「オヤ充のススメ」その24 ―


 最近「あまりにも古くて朽ち果て感が半端ない」という理由で、再注目されている温泉が結構ある。例えば、栃木の「北温泉」がそうだ。30年ぐらい前に行ったことがあるんだが、巨大な屋外温泉プールが圧巻だ。

 当時は混浴だったけど、今はどうなんだろうか。建物は古く、湿度が半端ないから、建物の破れかたもアバンギャルドだし。置いてるものも民芸品とか天狗の面とか、駕籠とかね、江戸時代から伝わる得体の知れないものが無造作に鎮座してあり、それがスゴく面白かった記憶がある。

女のコが必ず「泊まりたい」と言いたくなる名旅館

温泉宿にキャバ嬢を連れ込む……そのハードルは山のごとし

 こういう面白温泉に一緒に行ってくれる若い女性がいたら、そりゃ嬉しいが、現実的にはなかなか難しい。清水国明の温泉番組じゃないんだから、あ~いうのは撮影だから旅ができる。普通はゴージャスなエサをつけないと、来てくれない。

 そもそもキャバ嬢って、一緒に温泉に行ってくれるのか?

 これぞ禅問答級の難題である。キャバ嬢との温泉旅行は、「いつでも行けるから、いつでも行けない」という答えが導き出される。何を言っているのかというと、例えば今の季節、「どう?いい温泉あるんだよ、行かない?」とキャバ嬢を温泉に誘うとこうだ。

「そうねえ、梅雨じゃ気分出ないわね、夏に行きましょう」

 梅雨が終わり、夏が来ると……

「夏に温泉はないでしょう。秋よ、紅葉の季節に行きましょう」

と、やんわり逃げられる。だんだん分かって来たと思うが、秋になれば……

「温泉は雪見露天よ~。冬に行きましょう」

 冬になれば……

「実は冷え症がひどくて、あったかくなったら行こう」

 これを延々フォーシーズンごとに引っ張られて、しかも3セットって3年も温泉ネタかよ。逆にいい加減、客のほうが気づけよ。最初から無理な話なんだから。

 とまあそんなわけで、キャバ嬢と温泉にいくのは結構難しい。それは一泊すると一発がセットでついてくるからである。「温泉行ってもいいけど、部屋別にしてくれない」とのたまう猛者もいるが、それはないだろう。

 そんな状況で、関東では誘えば、ほとんどの女性が「行ってみたいと」とのたまう、名旅館が2つある。

 その旅館の名は箱根の「強羅花壇」と修善寺の「あさば」だ。ちょっと背伸びした女性が、そういう名旅館に泊まったりしたら、人生勝ったも同然って顔して友達に吹聴する。「まだ強羅花壇行ってないの?機会あれば行ったほうがいいよ」と、もう鼻孔が開きまくりだ。

 というわけで、まずは強羅花壇の凄さ。名前からしてツワモノ感漂いますなあ。部屋に大きなお風呂があるというコンセプトの旅館の走りである。テラスはさながらアマン風とでもいうのか。室内プールもあり、ホテルの要素も兼ね備えている。女性客に対して普通は「お連れさま」とかいうが、ここは「おくさま」という場合がある。なんとも不倫カップルにはたまらない演出ではないか。

 幾多の芸能人御用達、あるいはお忍び旅行で脚光浴びること数知れず。一泊最低で10万円、流行のエステなんかされたら、15万円ぐらい飛ぶ。ここでケチってはいけない。

 一方修善寺の「あさば」は、能舞台が池のなかに浮かんでいるように鎮座しているのが有名である。映画「失楽園」の舞台になった旅館といえばいいのか。もうそれだけで、行く価値は充分ある。こちらの露天風呂は野趣溢れる庭園風である。室内は家族風呂が幾つかあり、そこで失楽園ごっこをするのもいと楽しい。料理がこれまたスゴい。シャモ鍋が有名だが、とにかく食べきれないボリュームだ。さらに朝食が普通の旅館の夕食ぐらい出てくるから、びっくりだ。

 イマドキ広々とした個室露天風呂がある旅館は、当たり前になってしまったが、やはりこの2つは別格である。30歳に向けてやっておくべき高級旅館泊まり、すなわち通過儀礼みたいなものといえる。「強羅花壇」か「あさば」に行ったことがあるかないかは、ハワイに行ったことがあるかないかより、価値があるってことです。

 だって10万円あったら激安ハワイ旅行をするでしょう。たった1泊に10万円は払わない。つまり自分らで行く旅館ではなくて、誰かに連れていってもらう旅館なのである。

木村和久

木村和久

 そこでホワイトナイトを買って出るオヤジの登場だ。「お金はないけど高級旅館に行きたい若い女性」と「高級旅館に行くお金はあるけど、連れて行く若い女性がいないオヤジ」が、見事手を組んで、世紀のプロジェクトを達成するのである。ほんと世の中って、需要と供給のバランスが取れているんですなあ。

■木村和久(きむらかずひさ)■
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦

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