「クマのプーさん」半裸騒動、“出禁”になった本当の理由
ポーランド中部の街Tuszynの行楽地に、マスコットとして現れるはずだったプーさんが“出禁”になった。当局はプーさんの登場を禁止した理由を「下半身裸なうえに性別不明なことが子供に悪影響」と説明したが、人気キャラクターの思わぬトラブルは世界中に飛び火。各国メディアやネット上で報じられた。
◆本当の理由は保守系議員の票稼ぎ?
では、当のポーランド人はこの騒動についてどう思っているのだろう? 旅行で日本を訪れているというポーランド人女性、アガタ・ビェレツカさん(仮名・20代)に感想を聞くと意外な答えが返ってきた。
「とにかくバカげてる。いろいろ理由を説明してたけど、本当のところは選挙に向けた政治家のパフォーマンスだと思うわ。最近こういうわけのわからない理由でイベントが中止になることが多くてうんざりよ」
実は今月ポーランドでは統一地方選挙がおこなわれたのだが、今回のプーさん騒動の裏には政治的な駆け引きがあったというのだ。カトリック教徒の多いポーランドでは、保守的な有権者の注目を集めるため、こういったパフォーマンスを起こすことは珍しくないという。
「日本で会った人も私がポーランド人だって聞くと、プーさんの話をしてくるし、いい迷惑。厳格なところをアピールしたかったんだろうけど、世界中にバカだと思われて恥を晒しただけよ」
こうした形でポーランドが世界から注目されたことに関しては、ポーランド大手紙の「wyborcza」も「ポーランドの政治家に世界が震撼」と、皮肉たっぷりなタイトルの記事を発表している。
◆プーさんの前にはメタルバンドが標的に
アガタさんの言うように、政治的パフォーマンスの被害者はプーさんだけではない。先月には日本でも過去数回来日公演を行っているブラックメタルバンド、BEHEMOTHの公演が中止に追い込まれた。ポズナンの医科大学内にあるクラブでライブを行うはずだったのだが、「生徒や職員の安全性が懸念される」という理由でキャンセルされてしまったのだ。この発表に対し、バンド側はFacebookの公式ページ上で「中止になったのは政治的理由」と大学を非難している。
また、肝心の統一地方選はというと、開票作業が混乱した挙げ句、政治問題に発展。今月25日から予定されていたコモロフスキ大統領の来日も延期されるなど、プーさんだけでなく国全体がゴタゴタしている状態だ。
少しでも保守的な有権者から叩かれそうな要素があれば即中止という“魔女狩り”が続いたポーランドだ。結果的に規制する側が炎上してしまうとはなんとも皮肉な話だ。 <取材・文/林バウツキ泰人>
※参照元
●wyborcza:http://wyborcza.pl/1,75477,17028023,Zagraniczne_media_drwia_z_polskich_radnych___Pilne_.html
●epoznan:http://www.epoznan.pl/news-news-52577-Koncert_zespolu_Behemoth_odwolany_na_prosbe_wladz_Uniwersytetu_Medycznego
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
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