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コラムニスト木村和久が考える「NHK朝ドラ『マッサン』の面白さとは?」

― 木村和久の「オヤ充のススメ」その50 ―


 NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」は、男性が主人公になった久々のドラマらしいが、視聴率的には紆余曲折があって苦戦していた。今まで人気だったのは、マッサンがウィスキー作りに情熱を燃やし、鴨居の大将とやりあいながら、夢を実現させて行くあたりだ。

NHK朝ドラ「マッサン」の面白さは絶妙なサントリーいじり ところが、このドラマ、もうひとりの主人公、妻のエリーの存在も重要である。はるばるスコットランドからやってきて、様々な障害を乗り越えて、内助の功を発揮していく筋書きだ。エリーのメイン部分は、12月中旬までネガティブエピソードが多く、そこでやや失速気味になった。

 今後の展開を見ると、マッサンは約10年間、山崎蒸留所に奉公し、それから北海道の余市に新工場を作る運びとなる。モデルとなった、マッサンのニッカウヰスキーだが、もともとの名前は「大日本果汁株式会社」だった。それを縮めて日果にし、横文字となってニッカウヰスキーとなる。ドラマではマッサンが「北海道果汁株式会社」を作り、ドウカウヰスキーという名前で出てくるはずだ。

 なぜ果汁を売り出したのか。建前を言うとウィスキー作りには、時間がかかるので、最初のうちはジュースを作って資金稼ぎをするという名目だった。確かに果汁を売ってたが、それよりも鴨居の大将への義理というか、しばらくはウィスキーを作らない決意表明みたいな部分があったのではないか。そこで何があったかわからないが、それほど鴨居の大将との確執が、凄まじかったのは想像できる。

 マッサンと大将は、ウィスキーに対する根本的考え方が違っていたのだ。品質主義のマッサンに対して、あくまで商売として営業主義を貫く大将との確執は、ウィスキー造りの違いとなって現れ、袂を分かつこととなる。

 これで面白くないのは、モデルとなったサントリーだろう。鴨居の大将は、サントリーの創業者、鳥井信治郎がモデルだけど、これが売れてなんぼの関西商人の演出じゃ、明らかにマッサンのウィスキーの方が優れているように映る。

 そもそも鴨居の大将を、堤真一にしたときから、NHKの腹は決まってたと思う。堤のキャラは、映画「ALWAYS、三丁目の夕日」の、自動車修理工場のオヤジそのものだ。あの他人の家に土足で平気で上がり込むような性格に、関西商法のキャラが被ったら鬼に金棒だろう。マッサンが真のウィスキー造りを目指せば目指すほど、鴨居の大将は悪役になる構図が見えている。

 最近のNHKの朝ドラの得意技は、大物いじりだ。あまちゃんでは、秋元康のそっくりさんを出して、ちくちくと微妙なおちょくりを見せてくれた。何か言われても、どうせ脚本家が勝手にやってることって感じだった。

 マッサンでのサントリーいじりも、確信犯だろう。史実がそうだからとでも言いたいのか。しかも鴨居の大将は、誠心誠意いいものを安く売る商人に描き、他人に大将の悪口を言わせるところが狡猾だ。NHKはスポンサーがないからこういう好き放題がやれるのですね。

 今回の朝ドラ、やはり男性が主人公となんだから、男くさいドラマでいいと思う。マッサンと大将とのやりとり、今後も目が離せません。

木村和久

木村和久

■木村和久(きむらかずひさ)■
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦

<photo by Joshua Rappeneker via flickr

トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦。著書に『50歳からのかろやか人生』





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