出張先で「地元のスナック」を楽しむ方法
―[スナックの歩き方]―
特別企画「スナックの歩き方」の3回目、今回のテーマは「出張先の縁もゆかりもない店にどう溶け込むか」という、実に難易度の高いテーマである。ガールズバーやキャバクラならば無料案内所などを頼りに“それなりの”店を見つけることができるが、スナックまで網羅する案内所はほぼない。あるときは事件記者、あるときは夜遊びガイドと数多の顔を持つお馴染みO氏にこの命題をぶつけてみた。(SPA!連載「俺の夜」精鋭記者・苫米地)
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O氏に案内されたのは“アマ”。大阪の西隣、尼崎である。O氏は日本中を震撼させたアノ事件のとき、初めて降り立った尼崎の街で、頑なに口を噤む地元の人の心を掴み、数々の重要な証言を得た、思い出の土地であるという。
「女のコが他の街から働きにくることが多いキャバやガールズバーに比べて、スナックは女のコも地元密着型。それだけ地縁や人間関係が浮き彫りになり、聞き込みにはうってつけなのです……」
O氏はまず商店街沿い、扉や窓が開いている「一見を拒絶しそうにない」飲食店に入り、世間話をするのだという。
「『出張で来たんだけど、夜飲むにはどこがいいでしょう?』と聞けば、大抵の店主は自分の知り合いの店を教えてくれます。『ガールズバーはちょっと苦手でねぇ……』なんて付け加えれば十中八九スナックを紹介されますね」
ここ尼崎に関して言えば、なんとランチ営業をするスナックが。
「ぐっと敷居の低いランチタイムで入ってみるのもいいですね。ママの手料理の味に舌鼓を打ちつつ、夜への布石を打ってみてもいい。Tシャツにジーパンに薄化粧、昼はぐっとカジュアルになっているママと打ち解けておけば、夜の部の“勝利”は間違いないでしょう」
◆地元民のオアシスでいかに振る舞うか?
さて、無事入店しても、ひとつの壁は「常連」の存在である。
ここは、すでに一線を退いた大先輩や、作業着姿の諸先輩方が多い。地元のオアシスに突如現れた“闖入者”を見る視線はどうしても厳しくなる。
「ママさんには自分の素性を伝えましょう。どこから、どんな目的で来たか、愚直に伝えることが大事です。間違ってもカウンターレディに横柄な口など利かないこと」
1軒目に入ったスナック兼お好み焼き店「よかばってん」の澄ママ(業界歴25年)も「一見さんは探り入れるけど、そのあとは和気藹々。みんな楽しんでリピーターになっていくわねぇ」と笑う。
ママさんに気に入られればしめたもの。手慣れたパスが常連さんやカウンターレディに出される。
実際に訪れた「花唄」のたかみママも「地元以外の話は新鮮。テレビでやってる東京の新スポットの話なんて聞きたいわ」と友好的。一躍その夜の主役に躍り出ることもあるのだ。
【極意1】スナックビルは難易度高! 路面店を狙い、聞き込みを
地元民の“巣窟”と化する「スナックビル」は避け、アーケード商店街などの路面店を狙おう。
「地元民ですらスナックビルは『人間関係が濃すぎる』と敬遠する傾向にあります」とはO氏の弁。
隣接の飲食店などにまず入り、生ビールを飲みながら「2軒目行きたいんだけど」と切り出す。
「この店も駅前のバーから紹介される人が多いですね。いきなりドアを開けられるよりは、知り合いから電話が入ると私たちも安心します」(「花唄」のたかみママ)
そこから紹介の輪が広がり、2軒、3軒はしご酒なんてこともよくあるとか。
「同じ店に3日も通えば、ちょっと聞きづらいネタも取れるようになりますね」(O氏)
【極意2】薄い扉、すりガラス、値段表、音漏れは一見客OKのサイン
「カラオケ1曲100円。ボトル(いいちこ)2500円」。ただでさえ値段が不明瞭なスナックにおいて、値段表の掲示はそれだけ一見さんが多い証拠。
「たとえ紹介されたお店でも店周りはチェック。すこし佇んで、漏れ聞こえる会話やカラオケでその店の傾向を掴みましょう」(O氏)
いざ、店に入ったら懐具合もしっかり伝え、ビールかハウスボトルでスタート。
「一見さんのボトルキープはおすすめしません。次、来る予定のないお客のボトルは店にとっては邪魔になるだけだから」(たかみママ)
ママや女のコに一杯ごちそうすれば会話も弾むが無理は禁物。

―[スナックの歩き方]―
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