京王井の頭線と東京メトロ銀座線[相互乗り入れ]の可能性<コラムニスト木村和久>
―[木村和久の「オヤ充のススメ」]―
― 木村和久の「オヤ充のススメ」その210 ―
渋谷の駅前を歩いていると、再開発工事で実に騒々しいですよね。しかも、仮設通路が時々変わって、非常に歩きにくいです。空を見上げると、地下鉄銀座線が青山方面から地上に現れ、非常に高いところを走っているのに、改めて驚きます。
そういえば、銀座線と京王井の頭線って微妙に近いし、高さも同じレベル。なんで相互乗り入れをしないんだろう。そう疑問に思う方もいると思いますが、それは構造上、非常にやりにくいんですね。
そもそも線路の幅が違います。電気の取り入れ方も違う。井の頭線はパンタグラフですが、銀座線は車両下部の脇から電気を取り入れているし、車両の幅も微妙に違うしって、全部じゃん。だからどちらかを全部作り直すぐらいの工事をしないと、相互乗り入れは不可能なのです。
実は銀座線、約50年前に相互乗り入れするプランがあったのです。それは今の田園都市線とです。当時は新玉川線といって、渋谷から二子玉川間に地下鉄を導入する話が持ち上がり、その時、そのまま銀座線に乗り入れてはどうかとなった次第です。
結果として、そのプランは、さっき言ったように線路幅や電流、トンネルの大きさなどがネックとなり頓挫しました。作り直すくらいの工事費がかかるなら、いっそ新しく地下鉄を作ろう。そうなったみたいです。
その後、田園都市線は、半蔵門線と直通となり、赤坂見附あたりまで、並走して走ることとなります。銀座線と半蔵門線が並走してることが、相互乗り入れをしたかった何よりの証拠ですね。同じルートを同じ東京メトロが走るのって、すごく不自然でしょ。
というわけで、銀座線ぼっち状態はこのまま続くのか? 今の技術なら、井の頭線と相互乗り入れが可能かもしれない。おそらく本気をだせば充分可能でしょう。現在、銀座線は渋谷駅移設と補修のため、部分的に運行中止をしています。だから、相互乗り入れ工事をやるなら、井の頭線を延伸させる方法で可能だと思います。
まず銀座線を渋谷~青山一丁目間を休止させる。その間に井の頭線を表参道まで開通させるというものです。銀座線は、半蔵門線と表参道、青山一丁目、赤坂見附で繋がってます。だから、順序よく銀座線を井の頭線化しても、大きなトラブルにはならないかと思うのですがね。
ただ現実的には、採算面で厳しいんじゃないかということです。銀座線と井の頭線は偶然ですが、どちらも6両編成。この輸送力で相互乗り入れしてもねえ。とはいえ10両編成にするのは、到底無理な相談です。つまり、井の頭線はローカル私鉄の良さがあって、それを変えない方がいいんじゃないかと思うのです。
昔、東急目蒲線というクーラーなしの3両編成の電車が走っておりました。明治学院大学に通っていたので、毎日それを利用していました。このオンボロ電車が東急って信じられない。そう思っていたら、突如、それを東急目黒線に変えてしまったのだからびっくりです。
井の頭線は駅との距離が短い部分もあるので、これ以上車両を増やしたら、運行しづらくなる危険性もありますしね。
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