新潟県知事辞職で考える自由恋愛と援助交際の境界線[コラムニスト木村和久]
―[木村和久の「オヤ充のススメ」]―
― 木村和久の「オヤ充のススメ」その208 ―
新潟県の米山知事が売春防止法に抵触する行為をして知事の職を辞することとなりました。本人は、出会い系サイトで知り合っていたとはいえ、恋愛感情があったと言っておりました。しかしながら、A子さんとB子さんという2人の女性と被って、交際していた時期もあり、そこが決め手となったようです。
つまり、売春防止法の定めるところの「不特定の相手方との売春行為」があったとみなされたのです。本人も弁護士資格を持っていることもあり、完全アウトと認識したようです。記者会見では滝のような汗を流し、終始弁解に努めてましたが、時すでに遅しです。
売春防止法の罰則規定は組織売春に対してであり、今回は違法行為があったにせよ、罰則はされません。とはいえ、県知事という公職につく身です。罰則がなくても、違法行為をしたのは間違いないので、職を辞してケジメをつけたのでしょう。
それでは、知事を辞職に追い込んだ「不特定の相手」とは何でしょうか。これは複数の相手との援助交際を指します。逆を言えば、特定の相手、すなわち1人だったら、言い訳ができたかもしれません。愛人を囲い、月何十万円かのお手当や家賃などを払っている人がおりますからね。そこの線引きは非常に難しいのですが、もちろんモラル的にはアウトです。
米山知事が言い張っているのは、お互いSNSのやり取りをして月に1回程度逢瀬を楽しんで、デートをしていたのだから、恋愛行為だと言うのです。
確かに、一般的なデートでも誕生日などにはバッグやジュエリーなどの金品をあげたりしますが、当然罰則はされません。
世の中には、風俗嬢と結婚した人もいます。最初はお金を払ってサービスを受けたけど、しばらくたって愛情が芽生え恋人になった。その途中の過程は、グレーじゃないですか。お金を払って、過激なサービスを受けていたのに、ある日から、無料になるわけでしょ。
だから米山知事もこのまま恋人宣言して、結婚すれば、問題なかったのです。
ところが現実は違っていました。知事が恋人と思っていた相手にはちゃんと彼氏がいたそうです。この援助交際の発覚は、彼氏が彼女の行動を怪しみ、SNSなどで調べていたら、知事の存在が浮かび上がり、発覚したのです。彼女に問い詰めたら、知事の存在を認め「なんじゃこれは~」となりました。結果から言えば、米山知事はいいお客さんだったのです。
ここで気になるのは、出会い系バー&サイトの存在です。出会い系といえば、以前騒がれた前川前事務次官は出会い系バーに出入りしてたのに、セーフなのはなぜか? 疑問ですよね。
それは前川前事務次官が通っていた歌舞伎町の出会い系バーで、援助交際の確証が得られなかったからです。援助交際が成立するのは、あくまで性行為の対価としてのお金の支払いです。だから単にお小遣いをあげても、援助交際とは言えないのです。
結果、本人の言っている「貧困の調査」というお題目が正式に認められたってことです。別な見方をすれば、出会い系バーですら、モテないというかケチというか。そこで若い女性と歓談のみをして、今や堂々と講演会まで行っているのだから、見上げたものです。
一躍有名になった出会い系バーは、援助交際の温床みたいなところだったのに、今はオヤジと喋れる話題のスポットに変わり、連日沢山のお客さんで賑わっています。前川さん以降、完全に客層が変わったという点では、評価しても良いのではないですか。
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