大阪の夜の街に人が戻らない…東京への対抗意識が理由?
6月1日より、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づき関西の3府県で休業要請の大幅解除が行われた。大阪の夜の繁華街にも2か月ぶりに客足が戻るかと思われたが「実際はヒマですよ」と重い口を開くのはキャバクラなどで働く女性達。
休業解除から1週間以上経った大阪だが、6月1日にすぐに再開させたというわけではなく、週末から徐々に再開させているという。最初に話を聞いたのは北新地のラウンジに勤務するホステスの女性だ。
「1日から営業再開することになりましたが、出勤は大幅に削られました。元々、ママと女の子4~5人が常に出勤していたのですが、再開してからはママと女の子1人の2人体制になりました。お客さんも1日1組くらいしか来ませんし、来たとしても家族への気遣いからか、早く帰ってしまうお客さんが多いですね。店は1時閉店ですが、今は23時頃になると街に人気はほとんどありません。ママからは営業時間を早めて18時オープンにしようという話もあったのですが、昼職と掛け持ちしている子が出勤できなくなってしまうので厳しい状況ですね」
緊急事態宣言前、クラスターが発生したことにより様々な噂が広がった北新地。客足が戻るのにはもう少し時間がかかりそうだ。
一方、梅田(キタ)に比べると昼間の人通りは戻ってきたと報道されている大阪・ミナミ。リーズナブルなキャバクラやガールズバーも多く、コロナ以前は賑わいを見せていた。ミナミで働くキャバクラの女性に話を聞いてみた。
「休業解除されてから、うちの店でも出勤制限をされるようになりましたね。元々、15人近く出勤していたキャストは今は3分の1程度に減らしています。キャストが少ないので、必然的に入店するお客さんの数も少なくなっています。中には、この休業中に退店して地元のスナックやガールズバーに移ったという女の子もいます。今回、解除された3府県よりも早く再開された地域もあったので、リスクを背負ってまでミナミに出勤する必要がないと言っていましたね。それに、お客さんも繁華街を避けて地元で飲む人が増えているような気がします。連絡しても『人が多そうだから怖くて行けない』と言われると、それ以上何も言えなくなってしまいますね。実際は、全然人は歩いていませんが……」
グリコの看板前や戎橋商店街の昼間の人通りは少し戻ってきたものの、皆、店には入らず『様子見』状態の人が多いという。では、キャバクラに行く客側の声はどうなのだろう? コロナ前は接待で北新地やミナミでよく飲み歩いていたいう製造メーカーで取締役を務める男性に話を聞いた。
「うちの会社もですが、関西では工場を含めた中小企業が多いため、万が一社内でクラスターを出してしまったら……という緊張感があるのだと思います。特に上層部が年配の会社だと、感染したらリスクも高いですし。私自身、休業解除されてから社員同士や接待で飲みに行くようにはなりましたけれど、なるべく個室で換気の良い飲食店を選ぶようにしています。部下にも接待でも夜の店は控えさせて、もし使うのであれば必ず事前に報告させるよう指示しています。それに今回、会社がかなり打撃を受けてしまったので、まずはV字回復対策が先です。とても飲み歩いている余裕なんてありませんね」
東京では接待を伴う夜の店でのクラスターが問題視されているが、大阪の人間が解除されても出歩かない理由などはあるのだろうか。街で取材してみた。
客足は戻らず、出勤は減らされる
客の声を聞いてみた
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東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano
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