殺人やクスリ…犯罪者が集結するダークウェブの深い闇
サイバー空間で暗躍する犯罪者が跋扈し、中には殺人を請け負うと称する者が巣くうダークウェブ。犯罪者がこぞって集うネット上の特殊空間は今、劇的な進化を遂げている。インターネットの深海に潜むリアルを照らした。
脅しの対象となったのは、大手ゲーム会社のカプコンだった。11月中旬、「ラグナ・ロッカー」と名乗るサイバー犯罪集団は同社の顧客や個人情報を盗み出したとして一部をダークウェブ上に公開。さらに1テラバイトに及ぶ情報を持っているとし、公開されたくなければ1100万ドル(約11億円)の身代金を支払うよう要求したのだ。
ダークウェブとは、特殊なブラウザを使ってアクセスできる空間で、身分の秘匿をしやすいことから犯罪の温床となってきた。欧州や韓国などではテロ活動や人身売買組織の温床とされ、悪評は轟いている。
これまで多くの日本人にとっては馴染みのない世界だったことは事実だ。ただ、そんな状況が変わりつつある。日本国内でもダークウェブを舞台とする事件が頻発しているのだ。
11月初旬にはダークウェブ上でパソコンを遠隔操作できるウイルスを販売した21歳の男が不正指令電磁的記録提供の疑いで愛知県警に逮捕された。同日には匿名ブラウザを使い、複数の大学に爆破予告を行った22歳の大学院生の男も警視庁に逮捕されている。
3月には匿名ブラウザを使って児童ポルノを投稿した疑いで、32歳の公務員を大阪府警が検挙した。インターネットの最深部では、こうした犯罪が常態化しているのだ。
世界中の犯罪者が集結する、ありとあらゆる犯罪の温床
日本国内でもダークウェブを舞台とする事件が頻発
1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売
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