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地球温暖化を「わずか数年」で解決する方法とは。CO2排出ゼロでも気温上昇は抑えられない

CO2排出ゼロでも世界平均気温は1.6℃上昇

農業のあり方が温暖化対策のカギとなる?

農業のあり方が温暖化対策のカギとなる?

 地球温暖化防止のため、脱炭素社会の実現は待ったなしの急務だ。先に英国グラスゴーで開催されたCOP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)でも、温暖化の破局的な悪影響を防ぐための分水嶺とされる「世界平均気温の上昇を1.5℃程度に抑える」ことが国際的な共通目標となった。  ただ、そのためには、排出削減だけでは不十分で、すでに大気中にあるCO2も大幅に減らすことが必要だ。そして、そのカギは農業にあるのだという。  昨年8月にその一部が先行公表された国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次報告書によれば、同報告書が想定した世界の温室効果ガス排出削減シナリオの5パターンのうち、「2055年に排出実質ゼロ」という最善のシナリオにおいても、世界平均気温は2040年から2060年にかけて1.6℃程度上昇するとされている。しかも、この予測には振れ幅があり、最大では2℃上昇するという。

耕作地の炭素を増やすことで、温暖化を解決できる

「4パーミルイニシアチブ」のサイトより

「4パーミルイニシアチブ」のサイトより

 もはや温暖化の破局的な悪影響を防ぐことはできないのかと絶望しそうになるが、「未来バンク」理事長で、この秋に『地球温暖化/電気の話と、私たちにできること』(扶桑社新書)を上梓した田中優氏は「まだ希望は残されている」と力強く語る。 「日本ではほとんど知られていませんが、『温暖化をわずか数年で解決する』方法があります。それは、世界の耕作地の炭素を毎年4パーミル(=0.4%)ずつ増やすことができれば、大気中のCO2の増加量をゼロに抑えることができるというもので、フランス政府が2015年に『4パーミル・イニシアチブ』として提案しました。同提案によれば、毎年0.4%の炭素を土に戻すことによって、人類が排出するCO2の75%を回収することができ、それはつまり、数年程度で温暖化を解決できるということになります」  土壌にCO2を吸収させるということはどういうことなのか。田中氏は「農作物が育つ際、栄養分としてCO2を吸収するのですが、その余剰分を農作物が土に炭素として蓄えるのです」と言う。 「効果的にCO2を土に吸収させるためには、土壌が豊かでないといけません。植物は『菌根菌』と呼ばれる土の中の微生物の力を借りて、根の張った広さの7倍の範囲から栄養分を集めています。そのかわり、植物は液化した炭素を菌根菌に与えているのです。つまり、土壌が豊かであるためには、土の中に微生物が沢山いることが条件で、それによってより多くの炭素が土壌の中に満たされているのです。微生物が元気に農作物と共生するには、農薬や化学肥料を使わないことが大切です」
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植物と土壌を守ることが、最大の対策
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地球温暖化/電気の話と、私たちにできること

地球温暖化を数年で解決できる方法とは!?

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