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月100万円稼ぐ「ラジオトーカー」に密着。50歳で脱サラ、収益化するまで

 本業をやりながら、隙間時間を生かして副業に取り組み、収入をアップさせたい。ひとつの収入源ではなく、複数持つことで生活を安定させたい——。  そう思う人も多いのではないだろうか。最近では動画配信やライブ配信、ゲーム配信など、ITサービスを活用してうまく収益化につなげる副業の方法もある。また、Spoonやstand.fm、Radiotalkなどの音声配信アプリで「ラジオトーカー」として稼ぐ人も出てきている。
そんない竹内

ラジオトーカー(音声配信者)として活動するそんない竹内さん

 昨年夏に会社を辞めてラジオトーカーとして活動する、そんない竹内さん(以下、竹内さん)もそのひとりだ。  Radiotalkのトーカー(配信者)を務める竹内さんは、月に100万円を稼ぐ時もあるという。音声配信を始めた背景や、脱サラして稼ぐために必要なことについて話を伺った。

友人を誘ってポッドキャストを始めたのが原体験になっている

 現在、ラジオトーカーとして脱サラしている竹内さん。もともとは、家電量販店での接客業や営業の仕事を行っていたという。  ラジオに興味を持ったのは小学5年生の頃。三宅裕司や伊集院光がラジオパーソナリティを務める、ニッポン放送のラジオ番組を好んで聞いていたそうだ。  当時からラジオが好きだったこともあり、いつしか自分でも「ラジオ配信をやりたい」と思うようになっていった。  そして、2010年ごろにiPhoneが流行りだしたタイミングで、友人を誘ってポッドキャストを始めたのが、今の竹内さんにとっての原体験になっているという。
そんなことないっしょ

2010年4月に始めたポッドキャスト番組「そんなことないっしょ」のアートワーク

「iPhoneに入っているポッドキャストのアプリで配信を聞いていて、最初はプロの喋りには勝てないと思ったんです。でも、色々と聞いていくと素人の人もポッドキャストで配信していることがわかり、これは自分でもできるかもしれないと感じたんです。最初は“ラジオごっこ”として、遊び感覚からスタートしましたね」  しかし、誰も知らない素人の2人が雑談しているだけでは、ほとんど聞かれないのが関の山だ。  竹内さんは「自分たちの配信を、絶対に面白がって聞いてくれる人はいるはず」と当初から思っていて、どうにかして番組を知ってもらおうと試行錯誤した結果、グループを分けて複数のコンテンツを始めるようになったという。 「IT、ガジェット系を語るコンテンツと理科や美術を語るコンテンツを作りました。人ではなくジャンルに分けたことで、ちょっとずつですがリスナーが増えていったんです。これらのコンテンツをきっかけに、メインの『そんなことないっしょ』も聞いてもらえたらいいなと思っていましたね。最初の3ヶ月は週に3~4本、睡眠削ってまで取り組んでいました。何より番組を作るのが楽しかったんですよ」  他方、竹内さんの周りにはYouTubeで自らのチャンネルを作り、それだけで生活できるようになった人も出てきていた。それに比べ、ポッドキャストだけでは全く収益に結びついていなかったことに対し、悔しさの念を抱いたという。 「唯一のモチベーションになったのが、毎週の配信後にいただく感想のメールでした。 ポッドキャストを聞いてくれているリスナーさんからのリアクションはとても嬉しくて、これがあったからこそ、続けてこれたと思っています。ここで腐らず、ずっとポッドキャスト配信をやってこれたことを考えると、まさに『継続は力なり』だと実感していますね」

思わぬことからRadiotalkと出会い、収益化に結びつくように

そんない竹内 そんな竹内さんにとって、転機が訪れたのは2021年2月。  この頃は、音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」が流行った時期で、世の中的にも音声コンテンツへの関心が高まっていた。こうしたなか、偶然にもRadiotalkの井上社長が登壇するイベントを視聴したことで、Radiotalkに興味を持つようになったという。 「たまたまイベントを視聴したんですが、井上社長のラジオ愛がものすごかったんですよ(笑)。これは本物だと思い、早速アプリをダウンロードしたんです」  Radiotalkでは、約11年間やっていたポッドキャストのリスナーさんが、応援に来てくれたこともあり、幸先のいい滑り出しだったという。  そして、Radiotalkを初めて2ヶ月後に、Radiotalkで行われる毎月恒例のイベント「トークの日」でデイリースコア1位を見事獲得。  1日でリスナーによる課金額は100万円に達し、ライブ配信専用のギフトをもらうことができたそうだ。 「始めたばかりの新参者でしたが、ライブ配信ではその場の雰囲気を楽しむことを意識していました。Radiotalkの特徴として、他のライブ配信アプリのような『推しの人を上位に引き上げる』という文化があまりないんですね。  リスナーさんの懐が深いというか、民度が高くて大人の人が多い印象なんです。なので、リスナーさんが私にギフトを投げているというよりも、場を盛り上げるためにギフトに課金するような感覚かもしれない。だからこそ、ギフトがたくさん飛び交い、結果として収益が出ると思うんです。私のように、50歳で特段いい声を持っていなくても、Radiotalkで収益を上げられることから、年齢や性別に関係なく、誰にでもチャンスがあるアプリだと感じています」
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コミュニティづくりが大切
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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