“ステルス値上げ”を気にするのは若者だけ?「山崎製パン」の売り上げが落ちない納得の理由
中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
製パン業界のトップランナー、山崎製パンの業績がインフレの逆風下でも堅調です。2023年度上半期の売上高は前年同期間比6.8%増の5639億円、営業利益は同43.3%増の206億円でした。大幅な増益。同社は2023年度通期の営業利益を340億円と予想しています。上半期の段階で進捗率は6割を超えています。
予想を大きく超えて着地する未来も視野に入りました。山崎製パンは消費動向を的確に捉え、ビジネスを展開しています。その強さに迫ります。
山崎製パンの2022年度の売上高は前期比2.3%増の1兆770億円、営業利益は同20.0%増の220億円でした。業界第2位のフジパングループの2023年度の売上高は前期比7.1%増の2881億円、営業利益は同40.5%減の28億円でした。
山崎製パンの営業利益率は2021年度の1.7%から2.1%に上がりました。フジパンは1.7%から1.0%に低下しています。なお、Pascoブランドで知られる敷島製パンは2023年度の決算をまだ発表していません。2022度の売上高は1484億円、営業利益は19億円で営業利益率は1.3%でした。
パンメーカーやベーカリーショップの経営を安定させるという点に着目すると、食パンは極めて重要な商品になります。消費者は気に入った食パン(ブランド)を長期間に渡って購入する傾向がある上、購入頻度が高いためです。4人家族で6枚切りの食パンであれば、1日から2日ほどで消費し、次も同じ商品を買う家庭は多いはず。
しかし、山崎製パンの売上高に占める食パンの比率は1割ほど。フジパンと敷島製パンは上場していないために直近のデータが取得できませんが、過去のデータからフジパンが2割、敷島製パンが4割程度であることが分かっています。
山崎製パンは食パンへの依存度が高くありません。ここが一番のポイントです。
山崎製パンの“稼ぐ力”は3大メーカーの中で突出
「収益の安定化が図る」食パンの比率が低い
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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