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“ステルス値上げ”を気にするのは若者だけ?「山崎製パン」の売り上げが落ちない納得の理由

ステルス値上げ後も増収を成し遂げる

 山崎製パンは価格転嫁も見事でした。売れ筋商品の一つに「薄皮つぶあんぱん」があります。このシリーズはもともと5個だったものが、1月から4個になりました。いわゆるステルス値上げです。  矢野経済研究所がパンの値上げについて調査した興味深い調査結果があります。パンの値上げについてどのような方法を望むか尋ねたもの。「容量減で価格据え置き」と答えたのは、20代で23.1%、60代は38.8%でした。70代だと48.4%まで上がります。  つまり、数が減るのを気にしているのは若者だけで、高齢になるほど気にならないことになります。  あんぱんは高齢者が好むパンの種類で、数が減ることの影響を受けにくい特性があります。しかも、山崎製パンは重量を増やして消費者の批判をかわしました。  薄皮シリーズを含むミニパンカテゴリーは、値上げ後の2023年度上半期の売上高が前年同期間比11.1%も増加し、182億円でした。  山崎製パンの強さの秘訣は、巧みに消費動向を読み取り、それを商品開発や販売戦略に組み込んでいることがあります。 <TEXT/不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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