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フライト中に泥酔する「迷惑老人客」。トイレに行ったと思ったら、女性の悲鳴が…

 日系航空会社CAから六本木のクラブママを経て作家となった蒼井凜花が、実際に体験した、または見聞きしたエピソードをご紹介。今回は「フライト中に目撃した泥酔迷惑老人」についてお届けする。

機内で泥酔する老人客

迷惑客

写真はイメージ

 上空では地上よりアルコールが回りやすい。諸説あるが、機内は気圧や酸素濃度が低いためにアルコールの分解が遅れ、地上の3倍も酔いやすいと言われている。  だが、ついつい酒がすすんでしまう乗客は多い。それがとんでもないハプニングに繋がってしまうことがある。  それは羽田から北海道へ向かうナイトフライトでのこと。筆者が担当する後方エリアの窓際席に、老夫婦が座った。夫婦は遠目からでも仲睦まじく、夫が窓側に座る妻のために毛布をリクエストしたり、夜景を眺めながら笑い合う姿もほほえましかった。  CAたちも「素敵なご夫婦ね」と後方のギャレーから見守っていた。機内サービスではアルコールの提供もあり、夫婦はワインを注文。夫はかなりの酒好きらしく、すぐに飲みほし、何度もお代わりをした。それ以外にも、機内に持ちこんだビールやチューハイなども飲んでいる。  航空会社にもよるが、アルコール飲料の持ちこみは、24%以下なら制限なし、24%~70%以下なら、一人あたり5リットルまで(お預けともに)可能だ。  しばらくして、夫が千鳥足で後方の化粧室に向かった様子を見て「大丈夫かしら?」と心配になった。かなり酔いが回っているらしく、ご機嫌だが、顔は真っ赤で足元がふらふらとおぼつかない。 「お客さま、お体は大丈夫でしょうか?」と聞いても、「平気、平気」と笑いながら化粧室に入り、ほどなくして出てきた。

機内に女性の悲鳴が響き渡る事態に

 ふらつきながらも席に戻っていく彼をホッとしながら見ていたが、次の瞬間、「キャー!」という女性の悲鳴があがった。なんと彼は、妻の隣ではなく、一列後ろの窓側に座る若い女性客の隣に座ったのだ。  筆者が駆けつけると、その女性は「この男性がひざに掛けていた毛布の中に手を入れて、太ももを撫でてきたんです!」と訴えた。  男性は「申し訳ない。妻と間違えて……」と呂律の怪しい口調で謝罪したが、ボディタッチされた女性は目を吊りあげ憤りを隠さない。前の席に座る妻も「あなた、何してるのよ」と呆れ口調で驚いている。キャビン後方は騒然となった。  パーサーらも駆けつけて三人をなだめ、周囲のお客さまには丁重にお詫びをし、オサワリされた若い女性には前方の席に移動してもらうことで、何とかその場は収まった。 夫は妻に叱られながら、「ごめん、酔っちゃって」と平身低頭だった。
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フライト中の飲酒の怖さ
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元CAの作家。日系CA、オスカープロモーション所属のモデル、六本木のクラブママを経て、2010年に作家デビュー。TVやラジオ、YouTubeでも活動中。
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