3つ以上あてはまったら必読!「介護・相続」危険度チェック――法改正で誰もが当事者に
2015年は老後に関わる2つの法律、介護保健法と相続税法が改正された年となった。介護と相続は突然やってくる。いざというときに混乱しないよう、改正部分も含めた介護・相続について危険度チェックをしてみてほしい。
□親が75歳を超えている
□親の年収(年金も含む)を知らない
□親の預貯金を知らない
□親名義の持ち家が都心(の近く)にある
□兄弟で連絡のつかない者がいる・仲が悪い
このうち3つ以上あてはまった方は、以下の記事を一読することをおすすめする。
75歳からは「後期高齢者」と呼ばれ、介護を必要とする割合がぐっと増える。そのため、親が75歳をこえたら介護・相続を考える必要がある。そこで欠かせないのは、親の資産状況。
2015年8月には介護保険法が改正され、単身で1000万円超、夫婦で2000万円超の預貯金がある場合は特別養護老人ホームの介護サービス費の支給がされなくなる。
また、介護保険サービスの自己負担割合が単身で年160万円以上(年金収入のみなら280万)の所得がある人の自己負担が1割負担から2割負担に変更された。
こうした法改正が及ぼす影響とはどのようなものだろうか。
2015年12月に母親の介護を始めたAさん(50代・男性)は、預貯金がよりにもよって1000万円をやや超える額だったため慌てたという。
「ケアマネージャーに法改正のことを教えてもらって、親の財産を調べたんです。預貯金が少し減れば給付が受けられるので、どうにかして減らさないといけない。今はまだ自宅で介護できていますが、老人ホームに入るまでに生前贈与でわたしの口座に移して、1000万円を下回るようにできないかなと考えています」
生前贈与とは、本人が存命のうちに財産の一部を譲る仕組みのことだが、毎年110万円までは非課税で行うことができる。
2015年1月に施行された贈与税の改正では、生前贈与をする側が65歳以上から60歳以上に拡大し、生前贈与を受けることができる対象者も子だけではなく孫も可能になった。生前贈与は相続税の節税にも繋がる可能性もあるため、検討する価値はある。
親が都心に家を持っている場合は、将来的に相続税がかかる可能性が高い。いままで相続税というと富裕層のイメージがあったが、贈与税とともに行われた相続税の改正により、3000万円(+600万×法定相続人の数)以上の財産がある場合は相続税の課税対象になる。
都心の家は軽く資産価値が3000万円を超えてしまうことがあるため、信頼できる税理士を探しておいたほうがよい。
一方、家が都心外にある場合は相続すること自体にリスクがある。最近は人口の減少や都市部集中によって、売り手のつかない不動産も少なくない。売れるとばかりに相続し、買い手がつかずに固定資産税や維持費の支払に追われるケースもある。
親が老人ホームに入る場合は特に、そのタイミングで不動産の価格査定をしてもらうほうがいいだろう。
介護や相続は、親と自分だけの問題ではない。先述のAさんは兄弟のことでも頭を悩ませている。
「うちの兄は独身で放浪癖があり、住所がはっきりしません。生活保護の受給を検討していて、金銭に困ると電話が来るくらい。親の介護が始まって、いつかは相続もある。その時に連絡が取れないと遺産分割協議も滞るし、介護をすべて任されている身としては、母の財産を兄には渡したくない。最終的には兄の介護もうちでやることになるでしょうし…」
相続単独では遠い話かもしれないが、介護もあわせて考えると割と身近な問題になる。
最近は、親子で一緒に書き進めるエンディングノートも販売されている。冒頭のチェック項目で3つ以上当てはまった人は、一度家族で話し合う機会を設けるべきだろう。 <文/日刊SPA!取材班>
介護・相続を考える際は、親の資産状況から

預貯金をチェックしていないと…

法改正により、相続税が身近な問題に
親との関係だけでは済まないことも
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