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「腐敗した体にウジ虫が…」夏場に孤独死した78歳の父。1か月放置された“アルコール依存と認知症”の最期

 ある日、突然訪れる親との別れ。家族に見守られながら穏やかな最期を迎えることもあれば、誰にも知られることなく一人静かに旅立つこともある。
車椅子

※画像はイメージです

 認知症を発症した父親の最期に今年7月、直面したのは、2023年に認知症実話漫画『認知症が見る世界 現役ヘルパーが描く介護現場の真実』を上辞した漫画原作者でルポライターの田口ゆうさん。介護福祉を専門とするライターが目撃した自らの父親の最期とは?(以下、本人が寄稿。筆者の希望により故人の顔はモザイク処理をせずそのまま配信します)

ウジがたかり腐敗が進み

 著書の原作を書いている真っ最中に実父は認知症を発症した。享年78で、介護拒否の末、自宅アパートで孤独死した。亡くなったのは、2024年7月17日と推定される。詳しくは、検死解剖の結果を待たなければ分からないが、夏場は高齢者が多く死ぬ。  この記事を書いている現在、結果がいつ出るのかは順番待ちで、何の見通しも立っていない。自宅で倒れているところを近隣住民に発見されたのが、2024年8月10日だ。この暑さで死後1か月の遺体にはウジがたかり、腐敗が進み、骨格で何とか父と分かる状態だった

アルコール依存症患者が認知症に

田口ゆうさん介護

当時の父。長らく歩いてなかったことで、足はうっ血し、立ってズボンを履けないほど弱っていた

 父の様子がおかしいと気づいたのは、昨年の夏だった。何度、電話しても出ない。父は昭和のマスコミ人らしく、昼酒は当たり前。そこから、アルコール依存にもなり、暴れた。筆者は高校生になるまでは、よく殴られたり、蹴られたりしていたので、父にいい思い出はない。  退職すると同時に離婚された父は、よりアルコールにすがるようになっていった。そんな父は電話がつながらないことは多々あったが、その時は1か月近くつながっていなかった。  さすがにおかしいと思い、訪ねると、父はクーラーのない部屋でボーっと佇んでいた。そこからは、周囲の介護関係者に相談しながら、即クーラーを設置し、要介護認定の申請をした。同時に生活保護の受給申請もした。
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精神病院入院か在宅介護の2択
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ライター。webサイト「あいである広場」の編集長でもあり、社会的マイノリティ(障がい者、ひきこもり、性的マイノリティ、少数民族など)とその支援者や家族たちの生の声を取材し、お役立ち情報を発信している。著書に『認知症が見る世界 現役ヘルパーが描く介護現場の真実』(原作、吉田美紀子・漫画、バンブーコミックス エッセイセレクション)がある。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1

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