日中紛争長期化で、韓国にシェアが奪われる
◆日本製品不買運動で大打撃!その陰で韓国に“恩恵”が
反日暴動に端を発した日本製品の不買運動が、経済にどの程度の影響を与えるかは未知数。しかしすでにさまざまな部門での業績悪化が報じられた。
例えば、日系自動車メーカーの販売台数が急激に落ち込んでいる。中国での9月の新車販売台数は、前年同月比でトヨタが約49%、ホンダが約40%、日系トップの日産が約35%減少。国際協力銀行の奥田碩総裁も、自動車や家電の冷え込みに懸念を表明した。
これまで中国人客の誘致に力を入れてきた旅行会社やホテル、観光地も頭を抱える。日本ツアーの販売中止やキャンセルが相次ぎ、中国の旅行会社だけでキャンセルが10万人を超えたとの報道もある。JALは成田-北京、関西-上海を週14便から週7便に減便、ANAも小型機材に変更するなどの対応を迫られている。
日中関係の悪化で“恩恵”を受けているのが韓国だ。『聯合ニュース』によれば、日本に入港する予定の大型クルーズ船が、相次いで釜山に行き先を変更している。乗客の80%以上を占める中国人客が日本上陸を拒否しているためだ。その結果、9月~10月上旬だけで1万5000人近くの乗客が釜山に行き先を変更した。
また『朝鮮日報』は、現代・起亜自動車の中国での販売台数が9.5%増加したと報じ、「紛争長期化は韓国メーカーの利益になる」との分析を掲載した。
これらの反応について、日本のネットメディアで韓国ニュースの分析・紹介を行う金成河氏は次のように語る。
「日本が大打撃を受けていることは韓国でも報じられています。棚ボタ的な恩恵に喜んでいる人もいますが、一方で世界経済に与える悪影響を懸念する声も大きい。また歴史的に日中衝突は朝鮮半島で起きていますから、巻き込まれたくないとの思いも強い。よほどの反日でもない限り、日中関係の悪化を望む人は少ないですね」
取材・文/尾原宏之 撮影/権 徹 写真/時事通信社
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