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完全自腹だった自衛隊員のPKO保険に「助成」が。しかし気になる点も…

その76 自衛隊改革の一環でPKO保険が改善された!

中東へ自衛隊独自の護衛艦派遣を閣議決定

自衛隊

※陸上自衛隊公式Facebookより

 政府は昨年12月27日に中東を航行する船舶の安全確保のための情報収集活動に護衛艦「たかなみ」1隻を新たに派遣することを閣議決定しました。さらに、派遣海賊対処行動航空隊のP-3C、2機も活用することになります。  今回はアメリカの有志連合の「オペレーション・センチネル」には参加せず、ホルムズ海峡とペルシャ湾への派遣ではありません。少し離れたオマーン湾等で独自の情報取集活動を行います。しかし、自衛隊の艦艇が集めた情報は有志連合と共有するかたちとなるため、結果的には「オペレーション・センチネル」への支援と言えるでしょう。  そもそも、日本船籍の船「コクカ・カレイジャス(Kokuka Courageous)」とノルウェーのタンカーの火災事件が起こったのは昨年の6月です。当時、リムペットマイン(「吸着爆弾」)や飛来物による攻撃によって発生した火災事件と報道されました。  さまざまな立場での異なった報道があり、どれを事実とするのか難しい事件でしたが、この海域の船舶の航行に強い懸念が生まれたことは間違いありません。ほとんどの原発を停止させている日本では、中東からの原油や液化天然ガス等がなければ電気ですら使えません。中東の航路の安全は私たち日本国民の命を支えているのです。  さて、米国はイランの革命防衛隊クドス部隊のスレイマニ司令官を無人攻撃機のミサイルで暗殺しました。対するイランはイラクの米軍基地をミサイル攻撃しました。こういった危険な場所に自衛隊を出していいのかという議論があるようですが、この場合一番危ないのは石油を運ぶ我が国の商船です。  仮に街中で刃物を持って暴れる危険な人たちがいたとして、「警官が危ない!避難しろ!」と言うでしょうか? 警察や自衛隊などは国民の生命や財産を守るための機関です。この場合は「日本に石油を運ぶ商船が危ない! だから自衛隊は頑張ってほしい」と言うべきです。そして大前提として彼らが十分な力が発揮できるよう法整備、予算などを整えてほしいと考えるのが正解かと思います。  ただ、(残念なことに)日本には憲法9条とそれに連なる自衛隊法があり、自衛隊の武器使用にはさまざまな制約があるため、武器使用にハードルのある自衛隊はホルムズ海峡の少し後方で情報収集活動をすると決めたわけです。石油を必要とする日本国が果たす国際貢献としてはあまりに情けないですが、それでもやらないよりはマシです。  これから「他の国々より一歩引いた場所でできる支援」が始まります。すでに海上自衛隊のP3-C哨戒機2機が11日、ジブチに向けて出発しました。今はただ作戦の成功と隊員の方々の安全をお祈りしたいと思います。

一般の生命保険では紛争地帯における補償は免責される

 これまで何度も自衛隊の戦時補償の問題を取り上げてきました。自衛隊員も民間の会社員と同じようにそれぞれが保険料を払って生命保険に入っていますが、一般の生命保険は紛争地帯では保険金の給付が免責となっています。だから、隊員が普段保険料を払っている一般の生命保険では補償はもらえません。これでは派遣される隊員もそのご家族も不安です。  平成4年に自衛隊が国際協力をするためのPKO協力法(「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」)が成立しました。それと同時期に、平和維持活動のために派遣される隊員を対象につくられた「紛争地帯でも保険金が支払われる掛け捨て保険」がPKO保険です。  このPKO保険はこれまで「隊員が『自腹』で任意にかける」保険でした。保険料も高く、十分な保障を得るにはかなり多額の保険料を支払う必要がありました。そのため「危険地帯に行く自衛隊員の『自腹』をどうにかしてほしい」と、この連載や産経新聞のオピニオン誌『月刊正論』などでも訴えてまいりました。この補償にも変化がありました。
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