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中国で26年ぶりに禁書が解禁。その恐ろしい中身とは?

中国 中国共産党第18回大会が終わり、指導部が一新された中国。習近平氏は総書記に選出され、2013年3月に国家主席に就任するが、ここに来て、早くも新指導部スタートによる影響がで始めているという。  香港紙の報道によると、中国で長らくタブーとされていた文化大革命時代の「道県虐殺事件」に関する書籍が、26年の時を経て、ようやく禁書の封を解かれたというのである。11月末に入り、「百度文庫」などの中国のライブラリサイトや「新浪」「捜狐」などポータルサイトで、自由にダウンロードできる状態になっているというのだ。  同事件は1967年8~10月にかけて、湖南省の零陵地区にある道県で起こった悲惨な事件だ。文化大革命が起こり、中国各地で階級闘争が先鋭化する中、暴走した紅衛兵たちが同県や付近の10県で大殺戮をくり広げ、9093人もの人たちの命を奪ったのだ(うち1397人は自殺強要)。 中国 殺されたのは、当時、毛沢東によって反革命的と言われた「四類分子(地主、富農、反革命分子、犯罪者)」たちだ。発端は、現地で造反派(文革推進)の2大グループ「革聯」と「紅聯」による権力闘争が起こり、過激な抗争に至ったことによる。両派は、武器庫を襲って互いに銃などで武装して、争いを繰り広げた。そして両派は疑心暗鬼になり、被害妄想に取り付かれた結果、四類分子への殺戮作戦を開始し、前代未聞の大虐殺事件に発展したたと同書には書かれている。 中国 同書を執筆した譚合成氏は事件から20年後の1986年、『血的神話-1967年湖南道県文革大屠殺紀実』を完成させた。譚氏は自分の娘がこの事件で殺されたことをきっかけに真相を探るべくフィールドワークをして書き上げたのだ。殺された被害者の家族や加害者など関係者から、直接話を聞くなど20回以上の現地調査に加え、80年代に入ってようやく地元政府によって総括された事件の調査報告などの資料を基に、真相を究明した。同書は50万字にも及ぶ大作であったが、当時の共産党によって禁書処分にされて出版できなくなり、香港や台湾、アメリカで発行されていたという。 ⇒【表紙画像】はこちら https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=336893  今回の突然の禁書解禁の裏に、新政権のどういう意図があるのかはわからない。中国の一部地域では、共産党大会以降、これまで接続が遮断されていたフェイスブックにアクセスできるようになったという声も聞かれる。習近平総書記は、就任早々、民衆の怒りを鎮めるため、過去の禁忌やネット検閲を一時的に緩和しているのかもしれない。いずれにせよ、共産党政権の過去のタブーが徐々に暴かれ、広く人民に伝わることは悪いことではない。 【文/ドラゴンガジェット編集部】 ガジェット好きのライターや編集者、中国在住のジャーナリストが中心メンバーとなり、2012年1月から活動を開始。東京と深セン、広州、ニューヨークを拠点に、最新の話題をお届けする。(http://www.dragon-gadget.com/)
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