先鋭化し続ける喫煙者バッシングはどこまで行くのか?
最近では喫煙者のマナーも随分とよくなり、歩きタバコをしている人もほとんど見かけなくなった。しかし、嫌煙家の要求はどんどんエスカレートしつつあり、スモーカーたちは辟易しているようだ。
たとえばこんな騒動もあった。ベランダ喫煙を日課としていた名古屋市内のマンションに住む男性住人が、「煙でストレスを感じ、体調も壊した」として、上の階に住む女性住人に訴えられたのだ。’12年12月、名古屋地裁は近隣住民に配慮しない喫煙の違法性を認め、精神的苦痛に対する慰謝料として5万円の支払いを男性に命じた(体調の悪化と煙との因果関係は認められていない)。
ホタル族が訴えられ、敗訴したこの一件は喫煙者にとってはショッキングな事件だろう。ほかにも、公園や駅前にある喫煙スペースが、“近隣住民からの苦情”の名の下、撤去が相次いでいる。近年、タバコ規制の強化で、非喫煙者の嫌煙傾向が強まり、喫煙者を犯罪者扱いするような風潮が醸成されつつある。今回はそんなエピソードを集めてみたが、そもそも、なぜ近年これほどにまでタバコ規制が強まったのか。
厚生労働医系技官で医師の木村盛世氏はその一因をこう語る。
「民主党・野田政権発足以降、厚生労働省がなぜ、急にタバコ対策を推し進めたかというと、禁煙推進議員連盟の事務局長も務めた超嫌煙派の小宮山洋子氏が、厚生労働大臣になったからというところが大きい。確かに何かしらのタバコに対する規制は世界的な潮流ですし、タバコが有害だという科学的なデータがあるのも事実。ただ、ほかのさまざまな問題の中で、タバコという問題を上位に位置づける、その優先順位の付け方に科学的根拠があるかといえば、それはありません」
これだけ分煙化が進み、喫煙マナーも以前に比べて向上しているというのに、国が国民の嗜好まで規制し、自己責任のはずの健康管理にまで口を出す。しかも、それが時の大臣の個人的な嗜好や感情によって左右されたとしたら、たまったものではない。
何でも法や条例で規制してしまおうという風潮は、タバコに限らず、どんな分野においても、決して喜ばしい状況ではないだろう。
3/26発売の週刊SPA!「狂気の『喫煙者狩り』に異議アリ」では、“過剰”という声も聞かれる喫煙者バッシングの状況、その一方で海外の状況はどうなのか? 急速に拡大している喫煙規制と翻弄される喫煙者の姿を追っている。 <文/週刊SPA!編集部>
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