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ホンダの“本気HV”は期待してもいいのか?

ハイブリッドカー市場では、アクアやプリウスを要するトヨタ政権が長期化しております。トヨタの一強。そんななか、2015年からF1復帰など最近、かつての勢いを取り戻しつつあるホンダが2つのハイブリッド(HV)を開発。トヨタに挑戦状を叩きつけてきました。その出来栄えは? 私の愛車・大和(ド中古の初代プリウス)で挑んでみました! ホンダMJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi 池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira masanobu ◆トヨタが独占するHV市場に待った!ホンダの“本気HV”は期待してもいいのか?  9月に発売されるホンダの新型フィットHVが、トヨタ・アクアを抜いて燃費世界一の座に! というニュースは、アクアオーナーの私にとって衝撃だった。  日本的な低速交通環境においては、トヨタのHVがエコ世界一の座を16年間独占してきたが、ついにそれが崩れる! アベノミクスによるデフレ脱却の兆しも16年ぶり。これは吉兆か!?  ハイブリッドカーの分野では、トヨタが世界生産の7割を占めてきたが、そこにホンダが強敵として台頭すれば、競争激化で市場は活性化する。日本経済の復活にとってもプラス材料だ。  しかも、フィットHVの試作車に試乗した者によれば、「飛ばしても楽しいHV」だという。  プリウスにせよアクアにせよ、時速80km以下でのんびり走っていれば、独特の癒し感や路面を滑るようなスムーズ感が味わえて爽快だが、それを超えるとだらしない。つまり修羅場に弱い草食系である。  が、フィットHVは、欧州で主流のツインクラッチATの導入もあり、逆にノロノロでは少しギクシャクするが、飛ばすと具合がイイ武闘派HVだという。  海外ではハイブリッドに対して、「環境オタクが乗るフヌケカー」という負のイメージがあるので、それを克服し、日本に国富をもたらしてくれると期待できる。  ところでホンダは、フィットHVの前に、別の本格的HVを発売している。それが新型アコードだ。こっちはどうなのか? ⇒【写真】「アコードHV」はコチラ
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 実はアコードHVは、フィットHVとはまるで別のハイブリッドシステムを持っている。つまりホンダは、短期間にHVのツートップを投入してきたわけで、その意気込みはすさまじい。  で、どんなハイブリッドシステムかというと、「発電器付き電気自動車」とでも言うべきもので、発表早々電池の発火でリコールになった三菱の「アウトランダーPHEV」に似たメカニズムだ(リコールとは無関係にメカニズムとして)。  つまり、走行は基本的に強力な電気モーターで行い、エンジンは発電用。高速道路で飛ばす時のみ、エンジンでもタイヤを駆動する。トヨタのそれは、エンジンとモーター半々ぐらいで走るので、この点が大きく違う。  これのメリットは、ズバリ「燃費がいいこと」。アコードはクラウンに匹敵する大型セダン。重さ1.6トン以上ある。それでカタログ燃費リッター30kmを達成し、プリウスに迫っているんだから凄いじゃないか。  で、本当に凄いのか? 本当にトヨタのHVを上回ったのか? クルマがデカい分をハンデと考え、現行プリウスやアクアではなく、退役間近の我が大和(ド中古の初代プリウス)と比べてみた。 ⇒【後編】へ続く https://nikkan-spa.jp/492761 ― ホンダのHVツートップ戦略【1】 ―
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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