原子力発電の割合は約78%。世界一の原発大国フランスのEV(電気自動車)事情
今年一番のフランスの話題といえば大統領選。決戦投票で、中道・独立系のエマニュエル・マクロン氏が極右・国民戦線のマリーヌ・ルペン候補を破って勝利したことで、イギリスのEU離脱の是非を問う国民投票のような大どんでん返しはありませんでした。そんな大統領選に揺れたフランスで新型スマートEVに試乗してきました。
西村直人=文 Text by Nishimura Naoto
日産リーフ強し! EVの世界マーケットで販売実績25万台以上と、世界一売れたEVとして君臨し、日本でもコンスタントに月約1500台も売れているのがリーフだ。もっとも売れているのには理由があって、国からの補助金を差し引けば250万円程度で購入可能な車両価格もさることながら、1回あたりの充電走行距離も280km(30kWhバッテリー搭載車のカタログ値)と、実用に足ることも販売を後押ししている。
足りないと言われ続けている急速充電スポットも、今や7000か所以上あり、普通充電スポットと合わせると2万2000か所以上に増えた。数の上では、減少著しいガソリンスタンドの3万2333か所(資源エネルギー庁調べ/’16年)との逆転も近いかもしれない。
そのリーフに続く販売台数を誇るのが、仏ルノーのZoe(ゾエ)と米テスラのモデルSだ。
テスラの躍進は別の機会に触れるとして、今回話題にしたいのは大統領選の決戦投票で揺れたフランスのルノー。現在フランス政府は、ルノーに対する約20%の議決権を持っており、最終的には30%近くにまで増えるとの読みもある。
ルノーは、’99年に合意したルノー・日産アライアンスでも有名だが、’16年9月にはダイムラー(ドイツ)と、そして’17年2月には三菱自動車ともアライアンスを組んできた、やり手の自動車メーカー。強かなフランス政府のもとで、ジワジワとEVの販売台数を増やしているのだ。
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正確には、EVだけでなくPHV(プラグインハイブリッド車)も増加中で、その勢いは欧州全般へと広がり、さらには商用車にも波及。EVとPHVの共通項は充電スポットを活用する電動駆動車両であることだが、欧州は以前からCO2削減に前向きで、走行中にCO2を出さないEVに注目が集まっているのだ。
しかしEVに充電する電力を生み出すためには、それ相応のCO2が発生する。だから、できるだけCO2を発生させずに発電したい……。そうなると、核分裂を活用しCO2をほぼ発生させない原子力発電に有利な一面がある。
フランスといえば、原子力発電の割合が約78%と高く世界一(国際エネルギー機関調べ/’15年)。福島第一原発事故を受けて、欧州各国では脱原発の方針が打ち出されているが、フランスは依然として原子力発電を重要な電源として位置付けている。そんなフランス・トゥールーズで新型スマートEVに試乗した。
フランスの原発依存は世界一!
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