フェラーリとパッソで走ること500km。燃費は3倍も違わなかった?
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
世界で初めてガソリン自動車を作ったのはドイツ人技術者のカール・フリードリッヒ・ベンツ(1886年特許取得)。メルセデス・ベンツの礎を築いた御仁です。それから100年以上経ちますが、いまだに世界の自動車の主流はガソリンエンジン車であります。そんなガソリンエンジンを搭載する“究極の2台”を乗り比べてみました!
MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu
◆姿形は異なれど目指したのは究極!ガソリンエンジンの両極に困惑しました
⇒【前編】『フェラーリvsトヨタ・パッソ。“究極エンジン”異種格闘技対決』
フェラーリでゆっくり走るのに疲れ、パッソに乗り換えた瞬間、経験したことのない安堵感が! このフニャフニャでダルダルなフィーリングは、戦場から帰還して愛妻のフトモモに顔をうずめたような癒され感! アクセルなんざ、5㎝踏み込んだってほとんど反応しない。グイッと床まで踏みつけても、「あ、加速したな」と気付くのに5秒かかるくらいトロイ。池之平カメラマンが思わずつぶやいた。
「これってパッソじゃなくてパッソルじゃ?」
確かにこれは原チャリに近い。原チャリって、加速するときはだいたいアクセル全部回すでしょ? うーん、トヨタの究極のガソリンエンジンってこんななのか……。
対するフェラーリは、アクセル1mmでウィリーするGPマシン。フツーに乗るにはやや不向きです。さすが究極のガソリンエンジンの両極。フィーリングも両極端でした。
このようにして、500km走って出た燃費がこれ。
パッソ……リッター16.7km
フェラーリ……リッター6.4km
フィーリングが天と地ほども違って、燃費が3倍も違わないことに、微妙な違和感を覚えました。パッソはもっとゆっくり走ればリッター20km超えると思うけど、エンジンが非力すぎて、“時速100km+α”では、低燃費を実現するエコモードから外れてしまうんだよね。
この究極のガソリンエンジンを積んだパッソ、日本の普段のゲタとしてはいい。しかしそれ以上のものではないだろう。欧米のダウンサイジングターボ車、たとえばフォード・フィエスタの1000ccターボに比べても、あまりにも遅い。
これで世界という戦場で戦うのは、厳しいのではないでしょうか? トヨタ様の奮起を待つ!
【結論】
トヨタが本気を出し始めた! というと、どんだけ凄いんだと身構えますが、実感としては「こんなに遅いんだ…」でした。今回は比較対象がマズかったと思いますが、もう少し燃費とパワーを両立させてくださいませ
- ガソリンエンジン車という以外は、まったくの別物。
- セレブ美女と良妻賢母といった感じです
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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