倉山満「韓国は反日で当たり前だと思え」
「日本語で書かれた本で、これほど韓国を見下したものはないでしょう。ヘイトスピーチをしている皆さん、ここまで“上から目線”で韓国を見ていましたか?」と不敵に笑うのは、先日、『嘘だらけの日韓近現代史』を上梓した憲政史研究者の倉山満氏だ。
⇒【前編】ケンカで一度も勝ったことがない韓国の悲劇 https://nikkan-spa.jp/551716
◆日韓がモメた結果、喜ぶのは米中朝3国
韓国の反日行動の報道が多くなるにつれ、当然ながら日本人の嫌韓意識も高まっている。最近では過激なヘイトスピーチも話題になっているが、これに対して倉山氏は疑問を呈す。
「嫌韓を言うのはいいけど、韓国だけを目の敵にすることで得をするのは誰かをよくよく考えないといけません。まずはアメリカです。アメリカは日本がアジアに対して必要以上の影響力を持つことを喜ばず、日韓が結びつくことを阻止するのは世界戦略の一環です。仲が悪いままどちらも子分でいてくれるのが彼らにとって理想。だから竹島問題の解決など、アメリカはまったく望みません。
次に中国。彼らは北朝鮮は守りたいけれど、実は金一族は大嫌いなんです。ときどき韓国に接近するのは『朝鮮半島をまかせるのはお前とは限らんぞ』という金一族に対する牽制で、忠誠を誓うならば、韓国だろうが北朝鮮だろうがどちらでも構わない。韓国が半島を統一しても、日本に憎悪が向かっていれば好都合なのです。
そして、日本と韓国がモメて最も喜ぶのは北朝鮮です。日本にも韓国にも拉致被害者がいるので、本来なら彼らを取り戻すためにも手を組むべき。それなのに、ヘイトスピーチをしている連中が、拉致被害者をどうやって取り戻すのかについて、具体的な提言や行動をしたことがありますか? 重要なのは日本人自身が軍事的リアリズムを持つことです。『米中に言われても仕方ないけど韓国だけは許さん』という歪んだナショナリズムが一番恥ずかしい」
そのために大事なのは、「韓国は反日で当たり前だ」と思うことだという。
「間違っても好きになってもらおうとは思わないことです。自分たちのことを嫌っている相手に、いかに言い分を聞かせるかがリアリズムであり、外交の鉄則です。日本のように相手に言うことを聞いてもらうために仲良くしようなどという考えは、国際政治の場では大甘もいいところ。むしろ、徹頭徹尾こちらのほうが強いのだと思わせるべきなんです」
また、嫌韓ブームの裏側には日本の景気停滞の影響があるという。
「血相を変えなくても勝てる相手にオーバーコミットメントするということは、余力がなくなっているということです。高度経済成長時に韓国がいくら反日だろうと目くじら立てた人はいません。反韓・嫌韓で怪気炎を上げているのは、結局、日本人が自信を失っていることの裏返しなんです」
だからこそ、倉山氏はアベノミクスの行方を注視している。
「パク・クネ大統領が中国に媚びへつらっていても、安倍首相がそれを無視してアセアン諸国を歴訪できたのは、日本が自信と豊かさを取り戻しつつあるからです。だからこそ、私は消費税10%が既定路線になってしまったことを危惧しています。嫌韓デモするくらいなら、財務省に『アベノミクスを腰折れさせる増税を進める木下財務次官は韓国の手先か!?』とデモの一つでも 仕掛けたほうがいい(笑)」
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取材・文/杉山大樹 写真/時事通信社
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