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娘が語る亡き父・立川談志への思い――落語立川流一門による『談志まつり』が今年も開催

落語立川流創立30周年特別公演 談志まつり2014 人生なんて死ぬまでの暇つぶし――  そんな言葉を残しながら、暇つぶしにしてはずいぶんと破天荒な人生を送った落語家・立川談志。彼がこの世を去ったのは、今から3年前の2011年11月21日、荼毘に付されたのが23日。この日に合わせて、今年もまた、立川談志の追善落語会『談志まつり』が開催される。  一周忌・三周忌と、その命日の恒例ともなっている公演だが、今年は、落語立川流創立30周年特別公演も兼ねる。立川談春や立川志の輔といった一門の雄に加え、桂文枝、三遊亭円楽、三遊亭小遊三、柳亭市馬など、他団体の顔ともいえる面々も出演。連日、野末陳平や高田文夫、毒蝮三太夫などのゲストを交えたトークもあり、「3年たった今だから語れる」話も飛び出しそうだ。
落語立川流創立30周年特別公演 談志まつり2014

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◆「私は選んで『談志の娘』になったわけではありません」

 立川談志の長女でタレントの松岡弓子さんは、「生き様と死に様を見せてくれた父には、今は『ありがとう』の一言です」と、亡くなってからの3年の月日についてこう語る。
「娘が語る亡き父への思い」落語立川流一門による『談志まつり』開催

「父とは衝突も多かった私ですが、亡くなってから本当に愛されていたことを確信できました。それが今の自分の自信にもつながっています」(松岡さん)

「父の命日には、朝、お墓参りをして『談志まつり』の公演に向かうというのが家族の恒例になりました。3年もたつと人の気持ちも変わってくるようで、悲しみばかりだったのが、今は、みんなで笑っていたい、と思うようになりました。誰よりも談志がそれを望んでいるな、って。  やっぱり、時間というのはすごいもので、立ち上げ当初、あれだけ周囲に猛批判された落語立川流も、30年続いたわけです。継続はやはり力。それは、やっぱり、お弟子さんたちのおかげなんですね。  談志のところにくるような人たちですから(笑)、個性的な人が多いんですが、立川談志に対しては、私とはまた違う、お弟子さんたちにはお弟子さんたちの思いがあると思うんです。  私は選んで『談志の娘』になったわけではありません。でも、彼らは自らの意志で談志のもとにやってきた。その意味では、『立川談志』に対して、私たち家族より深い思いがあり、それが立川流を支えている。  あの世でずいぶん忙しいのか、父がこちらに帰ってくる気配はないんですが(笑)、弟子の姿を見ながら30周年を喜んでるんじゃないでしょうか」  一門に引き継がれる落語家・立川談志の魂。が、一方で、空き名跡となっている「立川談志」を誰が継ぐのか?というのも気になるところ。弟子たちが顔を揃える『談志まつり』はその才を見る絶好の機会でもある。  ま、そんなことより、単純に初冬の週末、落語を聞いて大笑いできれば、それで十分。なんてったって、「人生なりゆき」(談志)なんだし。 ●『落語立川流創立30周年特別公演 談志まつり2014』 日/11月21日(金)~23日(日)5公演 場所/有楽町・よみうりホール 料金/全席指定各回4200円 問い合わせ/夢空間 tel.03-5785-0380 http://yume-kukan.net <取材・文/鈴木靖子>
ザッツ・ア・プレンティー

That's a Plentyは、談志が好きだったディキシーランドジャズの名曲で、談志の遺言どおり、出棺の際にはこの曲が流された。

努力とは馬鹿に恵えた夢である

落語最後の名人は、名文家でもあった。人生と芸、そして〈東京言葉〉と〈人生の師〉と〈いい女〉等についての遺されたエッセイを集成

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