「中年童貞問題」は日本の国力を低下させる一因になる!?
―[中年童貞]―
ノンフィクションライター中村淳彦氏の著書『ルポ 中年童貞』が話題だ。本書によると、30歳以上の未婚男性のうち4人に1人が女性(セックス)を知らないという衝撃的な数字まで出ている。知れば知るほど他人事とは思えないこのテーマについて、男女関係論専門のコラムニスト・勝部元気氏と、中村氏が対談する。
⇒【vol.2】「今の若者が「中年童貞」予備軍になる可能性」https://nikkan-spa.jp/811971
中村:少し話がそれるかもしれませんが、いまの若い人たちって「わかりやすい正論」だったり「ポエム」だったり、いわゆる「キレイごと」が非常に好きですよね。
たとえば、良好な人間関係を築くためには、態度の使い分けとか、隠しごとも必要悪として求められるようなところがあるじゃないですか。そういう感覚は一方で、相手への気づかいだったり、会話の潤滑油だったりと、人間関係を円滑にする効果もある。つまりは“清濁併せ呑む”ことが人間関係には不可欠なんだけど、それを忌み嫌って、安直な正論(ときには屁理屈)を並べ立てて理論武装したりする。
傷つくことを極端に恐れて、ものすごく空気を読んだりするくせに、内に秘めた思考はとんでもなく偏っていたりする人が、若い世代を中心に増えている印象があって。
勝部:だから、セックスのような清濁併せ呑む必要のあるものを避けたり、嫌悪したりするのかもしれませんね。どうしても密な人間関係が求められるし。
中村:そのあたりが、私の世代とは全然違うんですよね。
勝部:それにも理由があって、人間交流の場が昔よりも閉鎖的になったことが遠因のひとつなんじゃないかと、私は考えています。
小さいころから、いろいろな価値観に触れるような機会がないのは問題です。昔は子育てに関しても、おじいちゃん、おばあちゃんだけでなく、近所のおばさん、面倒見のいいおじさんが介入してきたじゃないですか。
中村:そうですね。ただ、オートロック完備のマンションが増えて、子どもに携帯電話や防犯ブザーを持たせるのが当たり前のようになった現代だと、そういう古き良きコミュニティありきの子育ては、やはり難しいですよ。
勝部:そうですね。ただ、ずっと檻のなかで、一匹だけで育てられてきた動物は、野生に帰しても群れに加われなかったり、交尾の相手が見つけられなかったりして、厳しい環境に順応できず死んでしまうことが少なくない、という指摘もあります。それと同じように、他人と価値観のすり合わせなどをせず、傷ついたり、認められたりする経験を積まないまま過保護に育てられてきた子どもは、中年童貞になる可能性が高いように思います。
中村:価値観が自己中心的にはなってくるでしょうね。
勝部:だから、中年童貞も社会問題のひとつと深刻に認識して、これからの子育て政策や教育において、その対応策や回避策などを取り入れるほうがよいのではないでしょうか。
中村:そうですね。教育での対応は、問題解決の大きな活路になるかもしれません。
勝部:あと、ベタな指摘になりますけど、たとえば社交ダンスとか、チークダンスなどを10代のうちに経験させたりするのも、案外効くように思いますね。
中村:アメリカのプロム(アメリカの高校生の定番卒業イベント。ダンスパーティが中心)みたいに、ダンスは有効かもしれない。


―[中年童貞]―
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『ルポ 中年童貞』 童貞というコンプレックスは彼らの社会的な自立をも阻害する ![]() |
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『恋愛氷河期』 著者は、ナンパ禁止論や反・不倫論で話題を呼んでいるコラムニスト。男性から、かつ若手からの立場で、女性に厳しい社会に真っ向からダメ出しをする。 ![]() |
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