香山リカのアイヌ問題「反論」は無意味な駄文【小林よしのり氏寄稿】

小林よしのり氏近影

小林よしのり氏近影(写真提供/よしりん企画)

 文中、敬称を略する。
 香山リカが3月21日付の「日刊SPA!」にて「『アイヌ否定問題』で小林よしのり氏に反論」(http://nikkan-spa.jp/819659)と題する文章を発表している。
 まず、タイトルがおかしい。
 わしは「アイヌ否定」などしていない。北海道島を中心に過去「アイヌ」と呼ばれる文化集団が存在したことも、その子孫が現在も存在していることも否定していない。
 ただし、アイヌが歴史的に一民族を形成したこともなく、現在の日本に「アイヌ民族」と呼べる民族が存在しているわけでもないと言っているのだ。
 アイヌは古くから和人との混血が進み、純血のアイヌはとうに存在せず、アイヌの血は薄まる一方である。さらに、アイヌ語やアイヌ式の葬祭など、日常生活にアイヌ文化を継承している人も一人もいない。だから、アイヌの血をいくらか引く「アイヌ系日本人」はいても、「アイヌ民族」はいないと主張しているのだ。

 香山が今回、最も重視した論点は「私はアイヌ協会の回し者ではない」である。もっと大事な論点があるだろうと、呆れてしまう。
 それに、香山は「アイヌ民族」であるか否かの認定について、アイヌ協会が定款に基づく「客観的審査」をしていると書いているし、「創」3月号の対談でもそれを強調していたではないか(P105~106)。
 さらに香山は「国連でのスピーチなどでも、先住民族と承認を得ることが日本からの独立、日本の分断といった動きにつながることはない、と当事者が繰り返し主張している」と書いているが、国連でそのスピーチをした「当事者」とは、アイヌ協会理事長(当時)の故・野村義一である!
 アイヌ協会が「日本の分断にはつながらない」と言っただけで、なぜそれを信じられる? それは、安倍晋三が「集団的自衛権行使で戦争に巻き込まれることは断じてない」と言っているから信じようと言っているのと何も変わらない。
 しかも、現アイヌ協会理事長の加藤忠は「奪われた土地や資産の補償などの問題もあります」と発言したことがある(北海道新聞2008年7月28日夕刊)。これでは「国家の分断」に繋がることを危惧しても当然と言えよう。
 香山の発言はアイヌ協会の代弁に等しく、「アイヌ協会の回し者」と疑われても文句は言えない。それなのに「この発言にもっとも傷ついた」「最大にガッカリした」「それはないよ、小林先生……」と大げさに嘆くのだから、つくづく客観性のない人である。
 そのアイヌ協会による「アイヌ民族」の認定方法だが、簡単に言うと「本人の自認」と「戸籍などで確認できる血筋」である。そして、たとえ戸籍などでアイヌの血を引いていると明確に認められる人でも、本人が否定すれば「アイヌ民族」とは認定されないという。
 つまり「アイヌ民族」は、本人の意思次第でやめられるのだ。そんな「民族」なんて、あるのか!?

 香山は、わしやスタッフの時浦のブログが膨大にあるからとても反論しきれないなどと言っているが、わしは香山に対する論点を「3つの質問と1つの要望」に絞ってすでに提示している。

質問1 アイヌの血が1%、和人の血が99%になっても「アイヌ民族」なのか?
質問2 アイヌ語も話せず、アイヌ文化を一切継承していなくても「アイヌ民族」なのか?
質問3 自分の意思でやめられるようなものを「民族」と言えるのか?
要望 「アイヌ利権問題」について、わしよりずっと詳しく追及しているアイヌ系日本人の工芸家・砂澤陣と対談せよ。

 香山は先日の「反論」において、この「3つの質問と1つの要望」に一切答えていない。
 代わりに言うことといえば、「国際社会で決まっているのだ。もう議論の余地はないのだ」と、こればっかりである。この話にならない感じ、どこかで見たことがあるような気がしていたが、思い出した。バカボンのパパだ。「国会で、青島幸男が決めたのだ。これでいいのだ」と言っているのと同じである。
 香山リカは国際社会が決めたから捕鯨反対か? 国際社会の決定だって間違いはいくらでもあるのだから、「これでいいのだ」で思考停止するわけにはいかない。その足掛かりとしての3つの質問なのだが、香山は決して答えられない。無駄な文章を長々書いてごまかすしかないのだ。あれは全く「反論」の体を成していない、無意味な駄文である。

文/小林よしのり

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