1年前に公開されたブレンディのCMがなぜ今、大炎上しているのか?
AGF(味の素ゼネラルフーヅ)が昨年11月26日に公開したコーヒーブランド・ブレンディのWEB限定ムービー「挽きたてカフェオレ『旅立ち』篇」が、海外からの逆輸入で「差別的表現を含む」として日本で大炎上している。
英語字幕版が公開されることに。その動画が海外で瞬く間に拡散され話題となり、逆輸入するかたちで国内では「女性差別を助長する」などといった声が殺到しているのだ。
同社のニュースリリースでは「“牛”達の卒業式を描いた超感動作」と謳われ、決して差別的な表現を意図していたものではないと受け取れる。しかし、日本を拠点に活動するライターのRichard Smart氏による、動画のリンクが貼られた“Japan has a creepy new ad out. I don’t even…”(※ぞっとする広告)というツイートは3000RTを超えて拡散され、公開から1年が経つ現在になって物議を醸しているようだ。「特濃牛乳100%」を表現したプロモーションの一環として公開された動画が、今となって批判の的となってしまうとは……。
たとえ今は何の問題がなかったとしても、ふとしたキッカケによって企業は「過去のコンテンツであっても炎上する」というリスクを負っていることを示す一例だろう。日本で1年前には話題にならなかったCMが、海外からの逆輸入という形で批判が殺到してしまうという現象には考えさせられるものがある。
<取材・文/北村篤裕>
同ムービーの中では、高校生として擬人化された牛たちの卒業式を描いている。卒業式では、校長から生徒に卒業後の進路が言い渡されるが、主人公の親友“ハナ子”は動物園へ、続く生徒もロデオパークへの明るい進路が告げられる。そんななか、ある男子生徒は闘牛場へ送られ、またある男子生徒は食肉加工場だと告げられ号泣する。そして最後に主人公である女子高生“ウシ子”の、あからさまに大きな胸を強調して走る映像が流れ、校長から「濃い牛乳を出し続けるんだよ」という言葉とともにブレンディへの進路が通達されて笑顔で幕を閉じるという内容だ。
問題となったCMが大炎上した経緯を追ってみよう。今年9月にシンガポールで開催された広告大賞「スパイクス アジア 2015」のフィルム部門で銅賞を獲得した。WEB限定ムービーだけに公開当時は特設サイトでしか視聴できず大きな反響はなかったが、スパイクスアジアへのエントリーにともないハッシュタグ