[上から目線野郎]の正体
◆モンスター社員の心は実は不安でいっぱい
尊大な部下に、必要以上に権力を振りかざす上司。ここ数年、“上から目線”を標準装備したモンスター社員の取り扱いに頭を抱える声が後を絶たない。近著『「上から目線」の構造』が話題の心理学博士・榎本博明氏は、ここ数年の上から目線人間の増加の原因について、こう分析する。
「ここ10年くらいで、日本の教育がサービス産業化しているんです。厳しくすると鬱になるからと、生徒はお客様扱い、すべてお膳立てしてあげる、厳しく叱らない。褒めて伸ばすと甘やかされて育ってそのまま社会に出るから、いつまでたってもお客様気分が抜けない。叱られ慣れていないので会社で少しでも注意されると、『見下された、自分は否定された』と落ち込んだり、逆ギレしたりするのです」
この背景にはアメリカ流の教育が曲解されて日本に導入されたことが挙げられるという。
「日本もアメリカのように上下関係なく自由に意見を言える社会になろう、という風潮がありますが、実際のところ、アメリカは上下関係に厳しい実力主義。上の言うことは絶対、成績が足りなければ容赦なく落第させ、泣き落としも通用しない父性社会です。実力があって自立して初めて自由に意見が言える、ということ。対して、日本は母性社会なので、年齢が上がれば進級や昇進ができるし、多少成績が悪くても救済措置がとられます。それなのにアメリカ流の教育の表面だけを見て真似をするから、甘い教育の中で実力をつける努力をせず自己主張だけ強い人が増えてしまったのです」
【榎本博明氏】
心理学博士。MP人間科学研究所代表。『ビジネス教養としての心理学入門』(日本経済新聞出版社)ほか著書多数
取材・文/朝井麻由美
― [上から目線野郎]を撃退する処方箋【2】 ―
|
『「上から目線」の構造』 なぜ「上から」なのか。なぜ「上から」が気になるのか。 ![]() |
【関連キーワードから記事を探す】
ママ友に“利用され続けた”30代女性。会計時に店員が言った「スッキリする一言」で縁を切ることができたワケ
家庭も職場も父親が支配…絶望する20代男性に、取引先社長が放った“救いの言葉”
「いっしょに暮らそう」突然現れた見知らぬ老人の正体は…怒りと絶望に苛まれた40代男性の思い
「助けたのに感謝の一言がなく、ダメ出しまで…」イラッとした相手への対応の正解。ひろゆきが考える“ズルい”言いまわし
「体を弱らせる国の陰謀」エアコンをつけない主義の母が心変わりした“まさかの出来事”
フリーランスの王・株本祐己「フリーランスが活躍できる社会にしたい」。“フリーランス集団”というまったく新しい組織の形
体育会系人材は時代遅れになるか? AI時代に求められるアスリート人材の力
世の中には「善い人」「自分だけがイイ人」「カモ」の3種類がいる…投資家が“目指すべき姿”と理由
YouTuberヒカルのパートナーでYouTube業界の仕掛け人「1円を大切にするビジネスの基本は食品業界から学んだ」
医学部在学中に年商1.5億円。令和の虎・青笹社長が医師の道を捨て、「動画編集教育ビジネス」を選んだワケ