見えづらい「独身のデメリット」を軽視してはいけない
「社会全体から“結婚しないのはおかしい”という圧や偏見が減ってきたのはいい傾向ですが、目に見えない独身のデメリットと既婚のメリットを冷静に判断した上での選択ができているかといえば疑問です」
そう指摘するのは、男性学が専門の社会学者・田中俊之氏。
「40代以降、誰にでも起きるリスクとして、病気やリストラがあります。また、独身者は親の介護の問題が発生したときにも自分一人で抱え込まざるをえない可能性が高い。働き続けることが前提で成り立つ独身生活。働けなくなる可能性が、軽視しがちで見えづらい独身のデメリットです」
金銭面で備えがあれば安泰――かといえばそうでもない。
「どんな状況になっても、利害関係なしである程度受け止め、経済的にも精神的にも支えてくれる存在が家族です。これは長年連れ添った人だけがたどり着ける境地。いるだけで安心感があります。これが結婚の見えづらいメリットであり、どんな親友との間でも芽生えないもの。特に“男は競争、女は協調”といわれますが、家族主義が強い日本社会において、仕事以外の交流ができない独身男性の老後は想像を絶する孤独との闘い。60代になってから気づいても手遅れです」
結婚=幸せとは限らないが、老後、男が一人で生きていくことは、想像している以上に難しいことだけは確かなようだ。
【田中俊之氏】
武蔵大学助教。男性学の専門家としてメディア出演多数。近著『不自由な男たち その生きづらさは、どこから来るのか』(祥伝社)ほか著書多数
取材・文/小野田 衛 宮下浩純 猪口貴裕 加藤カジカ 佐口賢作 池田達哉(本誌) リサーチ協力/エコンテ リサーチプラス
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