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「お前なんか信用してない」と上司に言われた。どうすれば良い?

【佐藤優のインテリジェンス人生相談】
“外務省のラスプーチン“と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える!

◆「お前なんか信用してない」と上司に言われました
まめ柴(ペンネーム) 会社員 男性 26歳


上司 慣れない仕事を任されてミス。上司に「お前なんか信頼も信用もしてない」と怒られました。だったら、そのまま職場にいても無意味だと思い、退職しますと伝えると、今度は「もう少しよく考えろ」と言われました。

 信頼も信用もしてないなら、すぐに辞めさせればいいのに、考えるように言うのはなぜでしょう。本心ではない言葉がつい口から出てしまった? それとも自分の査定に響く? 上司の考えがよくわらないので、佐藤先生のお考えを教えてください。

◆佐藤優の回答

 あなたの上司は、ごく普通に職業教育をしているのだと思います。絲山秋子さんの小説『沖で待つ』を読むと、企業の新人教育の雰囲気がよくわかります。住宅機器メーカーの東京本社で採用され、3週間短期研修を受けた主人公たちは、福岡に赴任させられます。企業にとって最初の5年は見習い、その後、5年が新人というのが実態と思います。この会社の教育は次のような内容でした。

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 赴任して半年問、私は副島さんに、太っちゃんは山崎さんという別の先輩にずっとついて特約店や設計事務所やクレーム現場に行きました。ユニットバスの搬入経路、天井パネルの梁型加工が必要かどうか、システムキッチンは窓や額縁と干渉しないか、そういった打ち合わせもあれば、ガス給湯器が壊れたり、浴槽にクラックが入っていたりというクレームに対処することもありました。夜、時聞があると先輩たちは商品知識や建築図面、商品の工事用図面の見方の勉強会をしてくれました。本社の新人研修とは違って、「ここに気をつけないともめる」という点が強調されていましたが、その頃の私たちには「もめる」というのがどういうことなのかまだよくわかっていませんでした。(『沖で待つ』64頁)

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叱られるのではなく、指導を受けている

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沖で待つ

仕事を通して結ばれた、男女の信頼と友情を描く芥川賞受賞作




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