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本気でW杯に行きたいのか。改めて問われる、サッカー日本代表としての覚悟

改めて問われる、代表としての覚悟

 試合後、この日数少ない“戦えていた選手”だった本田は、「気合いとか根性といった、負けず嫌いな気持ちが足りない」という点を敗因に挙げた。一見ただの精神論のようにも聞こえるが、W杯アジア予選や本大会、アジアカップなど、エースとして多くの経験を積んできたからこそ、本当に大事な一戦においてメンタルの部分がいかに重要かを理解している。 「数値上は、このチームはすごく良いチームだと思います。ただ、数値だけでは測れない部分がありますから。そこが負けているのは間違いないですし、それがここ2、3年の結果に繋がっている。戦い方どうこうといった戦術的な要因ももちろんありますけど、それ以前に根本的な何かが足りないですね。危ない場面であと一歩足を伸ばして潰すとか、目の前の相手に負けたくないという、そういう負けず嫌いな気持ちの強さというのはそのまま勝負強さに直結しますから。チームというのはそれを積み重ねることでしか強くなれないので」(本田) “自分がこの代表をW杯へ連れていく”。そうした姿勢を今一度全員が示さなければならない。また、ただでさえ世代交代が遅れているこのチームでは、大島ら若手の台頭が大きな推進力となるはずだ。というよりも、控えに甘んじている選手たちから「ポジションを奪って、このチームの中心になってやる」といった強い意志がピッチで示されない限り、このチームにこれ以上の進化は望めない。予選敗退の可能性ももちろんだが、例え本大会に出場できたとしても、その結果は目に見えている。  この日、UAE代表の方が気持ちで勝っていたのは紛れもない事実だ。彼らにとってはアウェイに乗り込んでの試合だったが、逆転した後も守りに入るのではなく、自信を持って前に出てきた。終了の笛を聞いた瞬間、UAEの選手の多くがその場に崩れ落ち、ピッチにキスをし、祈りを捧げていた。目に涙を浮かべる選手もいた。2か月間に及ぶ合宿をただ淡々とこなしてきたわけではなく、母国をW杯に導くため、初戦に向けて全員が全身全霊を捧げてきたはずだ。その熱量は現在の日本とは比べ物にならないものだった。  W杯への沸き立つような思い、熱、勝利への渇望。日本代表にだって、元々それが無かったわけではない。フランスW杯の予選は、絶対に突破しなければならない予選だった。もし本大会に出場できなければ、すでに開催が決まっていた02年日韓大会で、日本は“開催国だから”という理由でW杯に初出場することになっていた。それは言うなれば裏口入学のようなものであり、その歴史的に不名誉な初出場を回避するためにも、絶対に負けは許されなかったのだ。おそらく日本の歴史上最も重圧の掛かった状況で、ベテランも若手も関係なく激しく意見を交わし、時にぶつかり合いながらも、W杯に行くために全員が本気で戦い抜いてみせた。海外組という言葉さえ存在しなかった19年前の代表は、プレーのレベルこそ、確かに今の代表よりも未熟なものだったかもしれない。だが、現在の日本サッカー界が忘れてしまった魂が、あの時代には確かに存在していたのだ。  本気でW杯に行きたいのか。本気でその覚悟はあるのか。この記事で挙げた大島に限らず、全員が今一度改めて、W杯への強い気持ちを持たなければならない。数年後、このUAE戦が、日本代表が変わるきっかけとなった試合として語られるようになっていることを、心から願ってやまない。 <取材・文/福田 悠 撮影/難波 雄史>
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