“レッスルマニア2000”はマクマホン劇場――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第325回(2000年編)
しかし、ロックの十八番ロックボトムで3カウントを許したビッグショーが最初に“失格”し、“有刺鉄線バット”でリング上の空気をハードコア・モードに変えたフォーリーもトリプルHの伝家の宝刀ペディグリーであっけなくフォール負けを喫した。
終盤戦、リング内に乱入してきたビンスは、味方であるはずのロックの脳天をイスで一撃し、グロッギー状態でダウンしていたトリプルHをロックの上に覆いかぶせ、レフェリーにカウントを強要。シニア・レフェリーのアール・ヘブナーがキャンバスを3回たたき、試合はあっけなく終了した。
次の瞬間、1万9776人の大観衆によるブーイングの大合唱が巻き起こり、モノが飛び交うリングのまんなかで父ビンスと娘ステファニーは“世紀の仲なおり”を果たした。これが“レッスルマニア2000”のエンディングだった。
やや後味の悪いラストシーンにはやっぱりちょっとしたオマケが用意されていた。ビンスの裏切り行為により不覚のフォール負けを食らったロックは、試合終了後、ビンスに一撃必殺ロックボトムをお見舞いした。
リング中央でロックとステファニーの激しいニラミ合いがはじまったと思ったら、ステファニーが勇敢にもロックの顔に平手打ちをお見舞いした。ロックはロックでステファニーをロックボトムでキャンバスにたたきつけ、最後の最後にためとひねりの利いたピーピルズ・エルボーをお返しした。アリーナのなかがどっとわき返った。
“レッスルマニア2000”は連続ドラマの最終回ではなくて、どちらかといえばto be continuedっぽいシーンでひとまずジ・エンド。
これまで対立していたビンス、シェーン、ステファニーのマクマホン親子はようやく関係を修復した。あまり知られていないエピソード――役に立たないトリビア――だが、ビンスの“義理の息子”トリプルHは、ここまでの“レッスルマニア”の16年の歴史のなかでメインイベントで大トリを張った最初のヒールとなったのだった。(つづく)
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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