翁長知事、市長選4連敗で辺野古埋め立て阻止に打つ手なし?
この日の午後、翁長知事は記者会見を開いた。まず冒頭にコメントを読み上げ、
「政府はなりふり構わず、埋め立て工事着手という既成事実をつくろうと躍起になっているが、護岸工事は始まったばかりで、二度と後戻りができない事態にまで至ったものではない。(中略)差し止め訴訟提起を含むあらゆる手法を適切な時期に行使し、辺野古に新基地を造らせないという県民との約束を実現するため、全力で戦う」
とした。
政府を非難しつつ、まだまだ基地建設の阻止に向けて戦うと宣言したわけだが、記者からは、具体的にいつどのような対抗策を取るつもりなのか?と質問が相次いだ。
対抗策は期限を区切ってやるのか、との質問には
「年内にどうだとかいうことは考えていない」
民意を確認するために県民投票や出直し選挙をする考えはないのかとの質問には
「私なりの考えは持っているが、弁護団や県庁内で相談しながらやっていきたい」
会見で翁長知事は最後まで具体的な対抗策を示すことがなかった。
記者からは「阻止に確信を持っているということでいいのか」との質問も出たり、「市民の間で早く撤回すべきとか、本当に工事を止められるのかという不安の声もある」との指摘も出たりした。
「県民も大変不安になるだろうが、私はこの工事を止めるために知事になった」
翁長知事はそう言い切ってみせたが、地元紙は苛立ちを隠せないようだ。
4月26日付『沖縄タイムス』社説は、ずばり<法的な対抗措置急げ>との見出し。<政府が話し合いを拒否し、強硬姿勢を示し続けるのであれば、県は重大な覚悟をもって、工事差し止めの仮処分や埋め立て承認の撤回など、法的な対抗措置を早急に打ち出すべきである>
と翁長知事を急かした。
このところ、翁長知事の雄弁ぶりがすっかりなりを潜めてしまった。着工翌日の会見での記者とのやりとりを見たかぎりでは、瞬発力が感じられず、鈍いとの印象すら覚える。
「埋め立て承認の取り消しをめぐる昨年末の最高裁判決を受け、県の弁護団がこれ以上、法的な対抗策を取ることに慎重になっているようです。県民投票の実施にも市町村の強力が欠かせませんが、市長選で連敗が続いているのも痛い。翁長知事が打つことができる手は限られているのです。もはや追い込まれてしまったと言ってもいいくらい」
県の幹部すら私の取材にそう認める。
翁長知事がこの状況を打破するためにどんな手を打ってくるのか。要注目である。
取材・文/竹中明洋(フリージャーナリスト)
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