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今さら聞けないクラフトビールって何? ビジネスマンのための一目おかれる酒知識

~ビジネスマンのための一目おかれる酒知識 第3回ビール編その3~  ビジネスマンであれば、酒好きでなくても接待や会食で酒に親しむ機会は多いです。そして多くの人は「それなりに酒に詳しい」と思っているはず。しかし、生半可な知識、思い込みや勘違いは危険。飲み会の席で得意げに披露した知識が間違っていたら、評価はガタ落ちです。酒をビジネスマンのたしなみとして正しく楽しむために「なんとなく知っているけどモヤモヤしていた」疑問を、世界中の酒を飲み歩いた「酔っぱライター」江口まゆみがわかりやすく解説します。

クラフトビール誕生の歴史

 クラフトビールが日本で産声を上げたのは、1995年。  この年にビールの製造免許が緩和され、それまで年間2000kl(キロリットル)以上つくらなくてはいけなかったのが、60klまで引き下げられたのです。そこで、全国に小規模な手づくりビールが次々と誕生しました。当時はこれを「地ビール」と言いましたよね。  当時地ビールをつくっていたのは、地方の清酒メーカーなど酒づくりのプロは4分の1ほどで、ほとんどが観光産業や外食産業など、まったくの素人。  ですから玉石混淆で、中には飲みにくいものや質の悪いものもあり、そういうものを飲んだ人に見放され、地ビールはしだいに人気が下がっていきました。  それは数字にも表れていて、全国の地ビール醸造所数は、2000年の305場でピークを迎え、2013年の211場で底を打ちます。つまり、13年で約3分の1が淘汰されたことになります。このとき生き残った醸造所は、本当においしい地ビールをつくっていたのではないかと思います。そして地ビールを「クラフトビール」と呼ぶようになったのも、この頃からではないでしょうか。  これに呼応するかのように、2013年に底を打った醸造所数は、その後増加に転じ、2016年には256場にまで増えています。それも、かつてのような儲けを当て込んでの参入ではなく、 「おいしいビールをつくりたい」 という情熱を持った若い醸造家が、今のクラフトビールブームの中心になっているのです。

ビールとクラフトビールの違いとは?

 ところで、地ビールやクラフトビールというのは、普通のビールと何が違うのでしょうか。クラフトというからには、「小規模」「手づくり」という感じがしますよね。でも、今や大手ビールメーカーもクラフトビール市場に参入し始めています。とくに積極的なのはキリンビールで、「グランドキリン」シリーズはキリンを代表するクラフトビールですし、代官山に「スプリングバレーブルワリー」というクラフトビールの工場とレストランもオープンさせています。  ですから、クラフトビールはメーカーの規模の大小ではなく、大手ビールメーカーが全国的に販売している大量生産のビールとは、違ったタイプのビールというとらえ方が正しいと思います。  地ビールを初めて飲んだとき、味わいの違うビールの多様性に驚いたと思います。そう、地ビール以前の私たちは、大手メーカーがつくるたった1種類のビールしか知らなかったのです。それが「ピルスナー」というビールでした。  ピルスナーは世界的に人気があるので、世界中のビールメーカーがつくっています。普通にビールといえば、ピルスナーと思って間違いないでしょう。しかしビールの専門家によると、世界中のビールを細かく分類すると、なんと145種類にもなるそうです。その違いのもとは、酵母の種類です。
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ビールの種類は酵母によって異なる
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ビジネスパーソンのための一目おかれる酒選び

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