ビールは生が一番旨いは本当か? ビジネスマンのための一目おかれる酒知識
~ビジネスマンのための一目おかれる酒知識 第1回ビール編~
ビジネスマンであれば、酒好きでなくても接待や会食で酒に親しむ機会は多いです。そして多くの人は「それなりに酒に詳しい」と思っているはず。しかし、生半可な知識、思い込みや勘違いは危険。飲み会の席で得意げに披露した知識が間違っていたら、評価はガタ落ちです。酒をビジネスマンのたしなみとして正しく楽しむために「なんとなく知っているけどモヤモヤしていた」疑問を、世界中の酒を飲み歩いた「酔っぱライター」江口まゆみがわかりやすく解説します。
缶ビールや瓶ビールより樽生のビールのほうがおいしい?
って聞かれたら、どう答えますか?
「この一杯を飲むために、今日一日仕事をしていたんだ。このクリーミーな泡、クリアな喉ごし。やっぱりビールは樽生が一番旨いね~!」
って、多くの人が答えるでしょう。
では、さらに問題です。
生ビールとはそもそもなんでしょう?
樽に入っているビールはみんな生?
でも缶にも「のどごし生」という商品などもありますよね?
生ビールというのは、加熱処理していないビールのことです。
ビールの変質を防ぐため、昔は加熱殺菌をしていましたが、現在では濾過技術が進歩したため、フィルターで処理して不要な酵母や微生物を取り除いています。
世界的には熱処理も濾過もしていないビールを「生(ドラフト)」というのですが、日本では加熱処理していないビールは、すべて生ビールということになっています。そして、日本の大手メーカーのビールは、ほぼすべてフィルター処理をしているので、缶も瓶も樽もみんな生ビールなのです。
私がこう説明したら、あるオジサマが寂しそうに、
「じゃ、じゃあ、もしかして……ヱビスビールも生なの?」
と聞いてきましたが、はい、そうです。ヱビスも生ビールです。
ただし、大手メーカーのビールの中でも、加熱処理をしている、つまり生でないビールが2つだけあります。それが「赤星」と呼ばれるサッポロラガーと、キリンのクラシックラガーです。
この2つのビールには熱烈なファンがいるのですが、彼らの主張は
「フィルター処理では旨味も取り除かれてしまう。だから熱処理のビールのほうが生より旨いのだ」
というものです。
これには賛否ありますが、「昔のビールの味がする」というのは、おそらく本当でしょう。
フィルター処理の生ビールが登場したのは1960年代後半ですから、赤星やクラシックラガーの味を懐かしがるというのは、ある程度の高齢者か、一部のビールマニアということになります。
日本のビールはすべて生ビール?
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