雑学

日本のウイスキーが世界から注目される理由とは? ビジネスマンのための一目おかれる酒知識

~ビジネスマンのための一目おかれる酒知識 第8回ウイスキー編その2~

 ビジネスマンであれば、酒好きでなくても接待や会食で酒に親しむ機会は多いです。そして多くの人は「それなりに酒に詳しい」と思っているはず。しかし、生半可な知識、思い込みや勘違いは危険。飲み会の席で得意げに披露した知識が間違っていたら、評価はガタ落ちです。酒をビジネスマンのたしなみとして正しく楽しむために「なんとなく知っているけどモヤモヤしていた」疑問を、世界中の酒を飲み歩いた「酔っぱライター」江口まゆみがわかりやすく解説します。

切磋琢磨するジャパニーズウイスキー


 日本にも少数ではありますが、各地にウイスキーメーカーがあります。熱烈なマニアのいる「イチローズモルト」のベンチャーウイスキーや、「マルスウイスキー」をつくる本坊酒造。また、「富士山麓」や「ロバートブラウン」といったクリーンでソフトなウイスキーを得意とするキリンディスティラリー。そしてもちろん、日本初の本格国産ウイスキーを製造したサントリーウイスキーと、スコッチウイスキーの技術を持ち帰った竹鶴政孝のニッカウヰスキーなどなど。

 そして2003年にインターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)で、山崎12年が日本のウイスキーとして初めて金賞を受賞して以来、これらのメーカーのウイスキーは、世界的なウイスキーコンペティションで、毎年なんらかの賞を取っているのです。審査は厳正なブラインド・テイスティングで行われますから、けして「審査員の日本びいき」というわけではありません。

 なぜ日本のウイスキーが、これほどまでに世界に人々の心をとらえるのでしょうか。たとえば2008年にワールド・ウイスキー・アワード(WWA)で「ワールド・ベスト・シングルモルトウイスキー」に選ばれた「余市20年」は、審査員から「豊かなスモークと甘いブラックカラントの驚異的な融合」「爆発的な香り」「力強く、長く、甘い後味」と絶賛されています。

 最初はスコッチウイスキーの物まねだったかもしれませんが、100年近くコツコツと、日本の気候風土に合わせたウイスキーづくりを研究し続けた職人魂が、日本のウイスキーを世界が驚く品質へと高めたのだと思います。

 私は日本の二大ウイスキーメーカー、サントリーの山崎蒸溜所とニッカの余市蒸溜所へ行ったことがあります。山崎は何度も訪問しており、最近では2年前に行きました。余市は「マイウイスキーづくり」を体験したのが2004年、その10年後の2014年に蔵出しのパーティーに行っています。

京都と大阪の境に位置し、アクセスの良さから観光スポットしても人気

 山崎は大都市に近いにもかかわらず、名水と自然の中にある蒸溜所で、特徴は多彩な原酒のつくり分けです。

 まず発酵槽はステンレスと木桶を併用しています。醪の段階から発酵槽を変えることによって、原酒のつくり分けは始まっているのです。

 蒸溜でも、対になった初溜8基、再溜8基はどれも形状が違い、ストレート型とバルジ型がそろっています。加熱の方法も、直火と蒸気過熱を併用しています。これらを組み合わせることで、重い酒質から軽い酒質まで自在につくり分けることができるのです。

 樽の大きさや材質も多種多様です。バーボン樽として使用されたホワイトオークの「バレル」、バーボン樽を分解して一回り大きい樽として再生した「ホッグスヘッド」、シェリー酒の熟成に使用されたスペイン産コモンオーク製の「バット」、ミズナラを使った日本固有の樽、そしてホワイトオークを使用した容量の大きな「パンチョン」など。

 樽の数は100万樽もあるのですが、ブレンダーはすべての樽の状態を把握しているそうです。これら個性の違う原酒を組み合わせることで、上品でバランスの良い「山崎」や、繊細で華やかな「響」などが生まれるのです。

 サントリーは、インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)で、2010年から4回も、世界一のウイスキーメーカーに与えられる「ディステラー・オブ・ザ・イヤー」に輝いています。これは世界に類のない原酒のつくり分けとブレンド技術が、高く評価された結果だといえましょう。

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2日間かけて「マイウイスキーづくり」を体験

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ビジネスパーソンのための一目おかれる酒選び

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