ニュース

「25年で作られた条例は1本」の都議会で法律のプロができることは? 三鷹市・山田浩史候補に密着【都議選直前ルポ】

妻は「覚悟はできていた」

 その後、勤務先の研修制度を利用し、米国に留学した山田が、2年間の滞在期間を終え、日本に帰国したのは2016年7月だった。ちょうど、小池知事が誕生した東京都知事選挙が行われていた頃である。 「東京都知事選の前後に、都議会の様々なスキャンダルが明らになり、これまでの都政の問題点を実感しました。都議会が、有権者のためでなく、政治家自身の利益のために動かされていると思ったのです」  そんななかで、知事就任後、自身の給与を半減し、五輪予算案の見直しを進めるなど、矢継ぎ早な動きの小池をみて、山田は「今しかない」と小池知事が主催する「希望の塾」への入塾を決めたという。 「有権者のために動く、小池知事のスピード感に共感しました。そして、法律の枠内で働く弁護士ではなく、法律をつくる側の議員として、自分も社会をよくしていきたいと考えました」  しかし、弁護士として順調にキャリアを築いてきたにも関わらず、政治家という徒労に明け暮れる仕事を目指すという山田の決断に、家族は反対しなかったのだろうか。そう問いかけると、部屋の中央で間仕切りになっているホワイトボードの後ろから、「妻です!」という声がして、奥様が現れた。 「法律の現場で働くうちに、思うことがあったようで、政治の現場で社会を良くしたいという想いは、以前から聞いていましたから、覚悟はできていました。いつか、というのまでは、わかりませんでしたが(笑)」

三鷹を「真のダイバーシティ都市」に

 山田には、伝統ある三鷹市を「真のダイバーシティ都市」に進化させていたきたいという目標がある。 「あらゆる人、あらゆる世代が共存できる街づくりをしていきたいですね。バスをはじめとする移動インフラをより一層拡充させたり、様々な世代間交流の場も設けていきたい。三鷹は、スバルなど多くの地元企業を抱え、都市型農業も発展しています。ジブリの森や、井の頭公園といった観光施設もある。こうした魅力を対外発信し、観光振興につなげたいです」  こうした地元目線の施策にくわえ、政治家としてとくに力を入れたいテーマが、経済の活性化だ。 「企業法務で培った経験を生かし、新しいビジネスを起こしやすい環境を整備したいです。ニューヨークでは、チャンスを掴んでやろうという人々の野心を感じました。日本に帰ってくると、その対比もあり、どうも停滞している印象が拭いきれません。もっと、みんなが自由に働け、チャレンジも賞賛されるような、基盤づくりをしていきたいですね」  過去25年で1本しか条例が作られていない東京都議会を、法律のプロの目線から、変えていきたいという想いもある。もちろん、2歳と5歳の息子をもつ父親として、子育て対策にも尽力するつもりだ。
次のページ right-delta
街頭活動で直面した介護問題
1
2
3
おすすめ記事