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日本は弾道ミサイル防衛能力を強化しなければ国民を守れない――北朝鮮「ICBM発射実験成功」で見えてきたもの

弾道ミサイル防衛のさらなる強化が必要

 一方で、北朝鮮が弾道ミサイル開発全体を一層進展させていることを踏まえ、日本は米国の先進的な取り組みや装備品などを研究しつつ、防衛大綱などで示された、我が国の弾道ミサイル対処能力の総合的な向上についての取り組み及び検討を加速しなければなりません。  今回の北朝鮮のミサイル発射実験で、ミサイルが過去最高の高度に達したことを日本政府は重く受けとめています。長射程ミサイルが日本に向けてロフテッド軌道(弾道ミサイルを通常より高い角度で打ち上げる)で発射されると、イージス艦の迎撃ミサイルが届かない高度を飛行したり、着弾直前の速度がより速くなったりするためで、現状では対応できない可能性もあるからです。  北朝鮮が新たな段階の脅威であることは明白です。自民党「弾道ミサイル防衛に関する検討チーム」(座長・小野寺五典元防衛大臣)は、これまでとは異なる北朝鮮の新たな段階の脅威に対して有効に対処すべく、あらゆる実効性の高い方策を検討し、「弾道ミサイル防衛の迅速かつ抜本的な強化に関する提言」を取りまとめ、政府において実現に向けた検討を迅速に開始し、予算措置を含め、その実現を求めています。  特に「弾道ミサイル防衛能力強化の新規アセットの導入」については、以下の2点になります。 ★イージスアショア(陸上配備型イージスシステム)やTHAAD(終末段階高高度地域防衛)の導入の可否について成案を得るべく政府は直ちに検討を開始し、常時即応体制の確立や、ロフテッド軌道の弾道ミサイル及び同時多発発射による飽和攻撃等から我が国全域を防衛するに足る十分な数量を検討し、早急に予算措置を行うこと。 ★また、将来の我が国独自の早期警戒衛星の保有のため、関連する技術開発をはじめとする必要な措置を加速すること。  これは、従来の防衛予算の大綱・中期防、歳出化予算、概算要求といったことではなく、災害対応で予備費を充当するといった大胆な発想で早急に政府の決断を求めています。あわせて、現大綱・中期防に基づく能力向上型迎撃ミサイルの配備やイージス艦の増勢の着実な進捗、事業の充実・さらなる前倒しを求めています。  日本政府は、さらなる抑止力の向上により北朝鮮にこれ以上の暴挙を断念させるとともに、国民保護体制の充実を含めたより一層の対処力の強化により、万が一の際に国民の生命と日本の領土・領海・領空を守り抜く万全の備えを構築しなければなりません。 【田村重信(たむら・しげのぶ)】 自由民主党政務調査会審議役(外交・国防・インテリジェンス等担当)。拓殖大学桂太郎塾名誉フェロー。昭和28(1953)年新潟県長岡市(旧栃尾市)生まれ。拓殖大学政経学部卒業後、宏池会(大平正芳事務所)勤務を経て、自由民主党本部勤務。政調会長室長、総裁担当(橋本龍太郎)などを歴任。湾岸戦争以降のすべての安全保障・防衛政策の策定・法律の立案等に関わる。慶應義塾大学大学院で15年間、日本の安保政策及び法制に関する講師も務めた。防衛法学会理事、国家基本問題研究所客員研究員。著書に『改正・日本国憲法』(講談社+α新書)、『平和安全法制の真実』(内外出版)他多数。最新刊は『知らなきゃヤバい! 防衛政策の真実』(育鵬社) <文・自民党政務調査会審議役・田村重信>
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知らなきゃヤバい!  防衛政策の真実

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