加速する憲法改正論議――党本部重鎮が語る自民党の青写真
憲法施行70年の節目を迎えた5月に、安倍首相が憲法改正について「2020年の改正憲法の施行」「自衛隊の憲法明記」を発言したことで、今、にわかに憲法改正論議が加速している。
自民党憲法改正推進本部は6月6日に会合を開き、改憲項目として「自衛隊の明記」「教育の無償化」「緊急事態条項(大災害時を念頭に衆院議員の任期を延長する緊急事態条項の創設)」「参議院選挙区の合区解消」の4つを例示した。自民党は9月にも憲法改正案をまとめ、公明党などと調整の上、最終案を決定し、来年1月の通常国会で憲法審査会に提案するという。
今後の改正論議をリードしていくと思われる自民党の真意と改正スケジュールについて、湾岸戦争以降のすべての安全保障・防衛政策の策定・法律の立案などに関わった永田町きっての安全保障のエキスパートである自民党政務調査会審議役の田村重信氏に話をうかがった。
安倍首相はその発言の2日前、5月1日に開催された超党派の議員たちの会合でも、憲法改正について、「機は熟した。今求められているのは具体的な提案だ。理想の憲法の具体的な姿を、自信を持って国民に示すときで、しっかりと結果を出さなければならない」と述べ、「憲法改正を党是に掲げてきた自民党の歴史的な使命ではないか」と訴えています。
今まで国会の憲法審査会では、野党の意見も聴きながら進めようとしてきましたが、まったく議論が進みませんでした。特に憲法9条の改正については、各政党の間ではどうしても賛否が分かれてしまいます。そこで、9条についてはいったん横に置いて、多くの議員の賛同を得やすいと思われる緊急事態条項などから議論していこうとしていました。
しかし、よく考えてみれば、民進党はいまだ独自の憲法改正草案を提案できていません。また、日本国憲法の制定当時は天皇条項と9条に反対していた、かつての改憲政党の共産党は、今では憲法を一言一句変えてはいけないという姿勢であり、これではお話になりません。最初から野党の意見を聞いていたら無理です。
まったく進まなかった憲法改正論議
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