更新日:2017年07月05日 16:40
ニュース

日本は弾道ミサイル防衛能力を強化しなければ国民を守れない――北朝鮮「ICBM発射実験成功」で見えてきたもの

日本は北朝鮮のミサイルをどのように防衛するのか

 我が国に武力攻撃として弾道ミサイルなどが飛来した場合には、武力攻撃事態における防衛出動により対処します。武力攻撃事態が認定されていないときには、迅速かつ適切な対処を行うこと及び文民統制を確保することを十分考慮し、防衛大臣は、弾道ミサイルなどを破壊する措置をとることを命ずることができます。  弾道ミサイルは発射前に着弾地域を特定することが極めて困難で、しかも短時間での着弾が予想されます。日本の弾道ミサイル防衛は、イージス艦による上層での迎撃と地対空誘導弾ペトリオットPAC‐3による下層での迎撃を、自動警戒管制システムにより連携させて効果的に行う多層防衛を基本とし、平成16年度から弾道ミサイル防衛(BMD)システムの整備を開始しています。  2016年2月2日、国際海事機関(IMO)及び国際民間航空機関(ICAO)から、北朝鮮当局から「地球観測衛星」打ち上げの事前通報があった旨の連絡を受けた時は、翌3日、不測の事態に備え、「弾道ミサイル等に対する破壊措置等の実施に関する自衛隊行動命令」を発出し、SM‐3搭載護衛艦を日本海及び東シナ海に、PAC‐3部隊を、石垣島、宮古島や首都圏にそれぞれ展開させるとともに、沖縄本島に所在するPAC‐3部隊がそれぞれの基地において態勢を維持しました。  また、万一の落下に備え、被害情報の収集や被害局限措置のため、陸自部隊を南西諸島に派遣するなどの万全の対応をとりました。  そして2月7日の「人工衛星」と称する弾道ミサイルが発射されると、防衛省・自衛隊は、早期警戒情報や自衛隊の各種レーダーなどにより得た情報を官邸などへ迅速に伝達するとともに、被害の有無を確認するための情報収集を実施しました。翌8日には、防衛大臣が「弾道ミサイル等に対する破壊措置等の終結に関する自衛隊行動命令」を発出し、速やかに部隊を撤収させました。

米国のミサイル防衛システムとの連携

 また、日米両国は、弾道ミサイル防衛に関して緊密な連携を図ってきており、米国保有のミサイル防衛システムの一部が、我が国に段階的に配備されています。  米国は、弾道ミサイルの飛翔経路上の、①ブースト段階、②ミッドコース段階、③ターミナル段階の各段階に適した防衛システムを組み合わせ、相互に補って対応する多層防衛システムを構築しています。  日本は弾道ミサイルの対処にあたり、早期警戒情報を米軍から受領するとともに、米軍が日本に配備しているBMD用移動式レーダーやイージス艦などを用いて収集した情報について情報共有を行うなど、緊密に協力しています。  北朝鮮は、その後も弾道ミサイルの発射を繰り返していますが、防衛省・自衛隊は、引き続き、米国や韓国とも緊密に連携しつつ、いかなる事態にも対応できるよう、緊張感をもって、情報収集や警戒監視等に万全を期しています。
次のページ right-delta
弾道ミサイル防衛のさらなる強化が必要
1
2
3
知らなきゃヤバい!  防衛政策の真実

北朝鮮のミサイルが東京に打ち込まれても日本は反撃できない。国民は自分の命と憲法9条のどちらを守るか決断を迫られている。日本人として当然知っておくべき防衛政策がこの一冊でよく分かる。

おすすめ記事
【関連キーワードから記事を探す】