更新日:2024年02月01日 15:51
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売り上げを劇的に左右する! 思わず買いたくなるAVの「パッケージデザイン」の秘密とは?【カリスマ男の娘・大島薫】

―[AVオープン2017]―
見た目は美女でも心は男――。「カリスマ男の娘」として人気を博し、過去には男性なのに女優としてAVデビューを果たした大島薫。女性の格好をしたまま暮らす“彼”だからこそ覗ける、世の中のヘンテコな部分とは?  AVには「売れないパッケージの法則」があるのをご存知だろうか。

大島薫

 今年7月12日に開催セレモニーが行われて、現在ほぼ2か月が経過したAVオープンという祭典がある。  ノミネートされたAV作品の中から、売り上げやファン投票をもとにナンバーワンの作品を選ぼうというのが、このAVオープンだ。7月の開会式に始まり8月にノミネート作品の発表、9月に一斉発売と配信が開始され、10月末まではファン投票受付が行われ、その結果がようやく11月に発表される。  ただのお祭りというわけではない。AVメーカーそれぞれとしては企業の威信を賭けた大会でもある。ロリ系で売っているメーカーが、同じライバルのロリ系会社に負ければ、それは業界内でロリに対しての優劣がついたといっても過言ではない。  企画力は当然のことながら、女優を選ぶブッキングセンス、売り上げで決まるということはもちろん営業力も必要になる。  概ね、AV業界で取り沙汰されるのはAV女優や、AV男優、AV監督など、いわゆる花形の面々であり、一般でAVをあまり見ない方もなんとなくこういう人々の力量でAVの売り上げが変わるのだろうということはご想像がつくことだろう。  だが、AVには監督よりも女優よりも男優よりも、まず手に取ってもらえるかの段階で大きく売り上げに関わっている要素がある。  それがパッケージだ。

AV撮影現場では、パッケージ撮影にもっとも力が注がれる

 ボクが現役時代のころには、AVはどこの現場も1日撮りが基本となっていた。2時間程度のDVDをほとんど1日で撮り終えるという意味だ。当時のプロデューサーから現場でこんなことを聞いた。 「最近はAVもなかなか予算が下りなくなってきてねー。昔は2日で撮るのが基本だったんだけど、いまそれをするとスタジオ代は2日分かかるし、スタッフに払う費用も2倍になるからね。できる限り1日で撮ってしまうんだ」  まあ、物が売れないのはどこの業界も変わらない。そのため現場は大忙しだ。女優は休む暇なく撮影をこなし、それでも現場が長引けば0時、いわゆる“テッペン”を回ることもある。そんな大忙しの現場でも、カラミシーンより、オナニーシーンより、時間をかける撮影がある。  それがパッケージ撮影なのだ。  知人のAV監督はこう言う。 「俺としてはさ、こういう設定ならエロいんじゃないかとか、この女優にあんなことをしたら売れるんじゃないかとかいろいろ考えるわけだけど、自分が駄作だと思った作品も、結局パッケージがよかったら売れちゃうんだよね。なんつーかそこは悔しいよ」  逆にどんなに中身がよくても、パッケージが悪ければ売れないとも言い換えられる。  中身よりも先に届く情報、それがパッケージ。だから、このパッケージ撮影はまだ女優のコンディションが万全な午前中などに行われ、大体2時間はスケジュールとして確保される。女優はこのパッケージ撮影の2時間中ずっとポージングを行わなければならない。  余談だが、過去に男の娘AV女優としてAVに出演していたボクは、女性のAV女優さんとはまた別の苦労がある。男の娘AV女優作品のパッケージは必ず「おちんちんが写っていること」というのが暗黙の了解なのだが、これがなかなか大変だ。おちんちんが写る際には、やはり女性の見た目とのギャップが必要なので、勃起をさせる必要がある。  おわかりだろうか? 2時間ずっと勃起させてなければいけないのだ。カメラマンが撮った写真をチェックするために、一瞬レンズを下げようものなら大急ぎで自分でシゴいて勃起を維持するように努める。見た目は女性なのに、一番男性力を求められるのが男の娘AV女優なのかもしれない。 ※AVオープンの投票はこちら

「売れないパッケージ」の法則とは?

 話を戻そう。  さて、つまりパッケージがAVの売り上げを左右するということは明確な事実なわけだ。だから、メーカーも売れるパッケージ、売れないパッケージには過敏になっている。そんなパッケージのデザインも、なんとAVオープンではグランプリが決してしまう。  ちなみに、一応売れないパッケージについてはすでに法則が出ているようなのだが、皆さんご想像がつくだろうか?  それはズバリ「青色系」「お団子ヘア」「前髪パッツン」だ。  お団子ヘアについてはなんとなく理解できるだろう。AVに限らずさまざまなファッション誌などで「お団子ヘアは男ウケが悪い」といわれてきたので、AVを買う大体の層が男性という時点でそうなっていくことは想像がつく。  では髪型ついでに「前髪パッツン」はどうだろうか? これはただ前髪が切り揃えられているのが悪いというわけでなく、例えば眉毛を全部覆い隠してしまうような厚めの前髪パッツンを指している。売れ行きが一番悪くなる原因は、眉を隠してしまうことによって「表情がわからなくなるから」ということらしい。女性の感じている表情が見えるのは男性を欲情させるらしい。  では、最後に1番意味がわからないであろう「青色系」について。これは、例えば背景が青色だったり、文字の色が青色だったり、全体的に青が多いパッケージのことを指す。これは業界が長年パッケージを出すにつれてわかってきたことだが、心理学的にも興奮する色として青色は最も向かない色とされているので非常に納得がいく。だから、女優に青系統の服を着せてしまうと、デザイン的に青い文字などを使わざるを得なくなってくるので、パッケージ撮影の段階からそういった服を避けたりすることもある。  だが、これは「売れないパッケージの法則」。しかし、今回AVオープンで決めるのは一番いいパッケージなのだ。  そこで、ここからはこの「売れないパッケージの法則」を逆手にとって、ボクがAVオープンのノミネート作品の中から、最も投票数が多そうなパッケージを独断と偏見で選んでみることにしよう。 ※AVオープンの投票はこちら

ノミネート作で「売れるパッケージ」だと思うのは?

 つまり、売れないパッケージの逆をいけばいいのだ。  お団子ヘアの逆とはなんだろうか。ボクはなんとなくだが、これはロングヘアだと踏んでいる。昔、女装を始めたばかりで、まだ髪の毛が伸びきってないころ。ショートヘアの地毛から、ロングのエクステに変わっただけで極端に街中でナンパされる頻度が増えた。顔立ちはもちろん変わっていない。ただショートがロングになっただけ。しかし、これが重要なのだ。わかりやすい女性らしさとして、長い髪の毛というのはきっと男心をくすぐるに違いない。  「前髪パッツン」の逆も考えてみよう。これはつまり「表情が見えない」というのが理由として根底にあるのだから、むしろ「表情がはっきりわかる」ということが逆になるのではないのだろうか。しかし、感じている顔をエロく見せるのが一番求められて、一番難しいことを女優は誰よりも知っている。写真に対する表現力が問われそうだ。  そして、最後「青色系」だが……、これは間違いなく逆は赤だ。青の反対は赤と短絡的に言っているわけではない。実際人間を性的に興奮させる色は赤だと言われている。’08年にアメリカのロチェスター大学で、さまざまな男性に同じ女性の写真を見せて「その女性とセックスしたいか?」と尋ねるという実験が行われた。その際、女性は変わっていないのに、その女性の背景や着ているシャツが赤色の写真を見た男性たちばかりが「セックスをしたい」と答えた。つまり、男を性的に興奮させるなら赤なのだ。  さて、以上のことを踏まえてみると、この作品が非常にグランプリに近いといえるだろう。 「LEGEND IMPRESSION 史上最強コンテンツで贈る奇跡の共演!240分」

「LEGEND IMPRESSION 史上最強コンテンツで贈る奇跡の共演!240分/アイデアポケット」

 アイデアポケットから遂に実現した「天海つばさ」さんと「希崎ジェシカ」さんによる奇跡の共演作。女優さんのネームバリューはもちろんだが、このパッケージは素晴らしい。2人のレジェンドを飾るのに相応しい重厚な真っ赤なカーテンと、レッドカーペット。男性の目はまずこの色に惹きつけられる。そして、さらに2人ともしっかりと前髪を分けることにより、顔がはっきりと見えていることが素晴らしい。表情を見ればわかるが、天海つばささんの挑発するような嘲るかのような絶妙な視線、希崎ジェシカさんのトロンとした男心をくすぐる表情。表情が全部写ってしまっても耐えうるこの表現力は、トップ女優の彼女たちのなせる業だろう。ただ、惜しむらくはそもそもアイデアポケットのレーベルのロゴがそもそも青色なのだ。これがどこまで影響するかはわからないが、個人的にはこのそれを差し引いてもこのパッケージがグランプリ最有力候補だろうと予想している。  さあ、そんなAVオープン、パッケージ賞のグランプリ発表は11月16日となっている。残念ながらこちらの投票はもう終了済みなのだが、ボクの予想が当たるのだろうか、外れるのだろうか。  これをお読みのあなたも、AV業界の「売れるパッケージ」「売れないパッケージ」の法則を、なんとなく想像してみると、ちょっと違った視点でAVを観ることができるのではないだろうか。  ちなみに、パッケージ賞以外の「作品賞」「女優賞」「監督賞」では、まだまだ投票が行われている(10月末まで)。  この3つの賞はファン投票部門で、DMMではウェブ投票、セル店・レンタル店では店舗に行けばスマホから投票できる形だ。その3か所すべてを合わせた得票数で、最終的に賞が決まることになる。  「作品賞」は全90作品が10部門に分かれて熾烈な競争を繰り広げる、まさに“一番すごい作品”を決める賞レースだ。さらに「女優賞」ではAV女優18人、「監督賞」では21人のAV監督がノミネートして、それぞれが雌雄を決している。  パッケージ賞に参加できなかったのならば、そちらにあなたの清き一票を投じてみるのは、いかだだろうか。 ●AV オープン2017の詳細はこちら ●PCの方はこちら ■ウェブ投票は9/1~9/30(23:59)まで可能/セル店は9/1~10/31(12:00)まで/レンタル店は10/2~10/31(12:00)まで受付 【大島薫】 作家。文筆家。ゲイビデオモデルを経て、一般アダルトビデオ作品にも出演。2016年に引退した後には執筆活動のほか、映画、テレビ、ネットメディアに多数出演する。著書に『大島薫先生が教えるセックスよりも気持ちイイこと』(マイウェイ出版)。大島薫オフィシャルブログ(http://www.diamondblog.jp/official/kaoru_oshima/)。ツイッターアカウントは@Oshima_Kaoru 提供/AVOPEN事務局
1989年6月7日生まれ。男性でありながらAV女優として、大手AVメーカーKMPにて初の専属女優契約を結ぶ2015年にAV女優を引退し、現在は作家活動を行っている。ツイッター@OshimaKaoru
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