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これからのVRアダルト作品はどう進化していく?「AVオープン2017」からその傾向が見える【カリスマ男の娘・大島薫】

見た目は美女でも心は男――。「カリスマ男の娘」として人気を博し、過去には男性なのに女優としてAVデビューを果たした大島薫。女性の格好をしたまま暮らす“彼”だからこそ覗ける、世の中のヘンテコな部分とは?

 AVオープンの開会式から1か月が経過した。

 8月に入り、各ノミネート作品が発表されたことで、それぞれのメーカーはその売り上げの報告に一喜一憂しているところだろう。

 昨年から続く、乙女部門や、熟女部門とは別に今回新たに並行して開催される「VR-1グランプリ」も盛り上がりを見せている。

VR

「VR-1グランプリ」のHP。各メーカーから選りすぐりの30作品がノミネートされている

 VRという技術が誕生し、その撮影・制作を手掛ける業者が、映画やドラマといったメディアよりも早く目をつけていたのは実はAV業界だ。過去に男性だがAV女優をやっていた経歴を持ち、いまも表立って活動をしているボクの元にも、VR業者からAVメーカーを紹介してほしいと数年前に相談がきたこともあった。

 そんな状況なものだから、VRが一般に知られるのとAV業界へのVR技術導入はほぼ同時だったような感覚を受ける。ある意味AVメーカーにとってこの「VR-1グランプリ」は、各メーカーがどのようにこのVRという技術を捉えてくるのかという、発想力を競う戦いともいえるだろう。

 ここで売れたVR作品でのVRの使われ方が「ウケるAVでのVRの使い方」ということだから、今後は似たような作品がVRAV作品の基本構成などになっていくといっても過言ではない。

 ボクもこの記事作成に際して、「VR-1グランプリ」にノミネートするVR作品をいくつか拝見させてもらったのだが、その進化スピードには驚くばかりだ。ひと昔前は視界が180°だけの作品ばかりだったのが、今回は360°視界が開けている作品も多数登場していて、各作品が「どうやったら迫力ある映像を作れるか」という工夫に余念がない。

 そして、そのうえで正直に思った感想を書かせていただくと、「うわ、これ女優も男優も技術を要求されるな」と感じた。

VR撮影は女優と男優の「真剣勝負」


 ボクが現役時代にはなかったVRという撮影方法が、AV業界に参入したときも友人の現役AV女優たちのなかではすでに話題騒然だった。

「この前初めてVRの撮影したんだけど、もうチョー大変だよ!」

 そう語る現役AV女優の話に興味を持ち、ボクもVRの撮影方法を聞いてみた。

 どうやら、VRの撮影というのは「カット」ができないのだそうだ。

 つまり、女優や男優、もしくはスタッフなど誰かがヘマをしてNGを出したとしても、カットで繋ぎ直すということができない。そのため、今までのVR作品などは15分のものなどが多かった。

「この前の撮影はNG出なかったけど、もしあれでどっか間違えていたら最初から撮り直しだもん」

 一般の方はもしかしたら、たった15分と思われるかもしれないが、女優側からすれば15分絶対にNGを出してはいけないというのは、かなりのプレッシャーだ。いや、もっといえば男優的な仕事もこなしていたボクからすると、VRに出演される男優さんに対しての共感のほうが強いかもしれない。

VR作品の進化は現場の努力以外にない


 AV業界ではよく「勃ち待ち」、「イキ待ち」という単語が飛び交う。AV男優はプロとはいえ、生理現象を仕事にしている。どれだけ優秀な男優でも思うように勃たないときや、イケないときも出てくるものだ。そんなとき男優が勃つまでカメラをとめて待つことを勃ち待ち、イク直前までカメラを止めて待つことをイキ待ちと呼んでいる。

VRヘッドセットをつけた筆者

 イキ待ちの場合はイク直前まで自分の手などでシゴいて高めて、発射シーンだけ撮って、その前のピストンのシーンと繋げる。すると、まるでそのままの流れで射精したように見えるというわけだ。

 ということは、VR作品がカットで割れない以上、男優は勃ち待ちやイキ待ちをせず、そのままの流れでイクことを余儀なくされる。男性読者はおわかりだろうが、こんなのとんでもないプレッシャーだろう。

 なので、AVメーカーによってはそういった女優力、男優力を必要としないVRの使い方を選んできたものもある。女のコ同士が裸でキャッキャッと愛らしくじゃれている様子を観察できるものであったり、覗き魔のように女性のスカートの中を自由に見られるものであったり……こういった撮影であれば、「射精しなければいけない」、「勃起を維持しなければいけない」といったことがないため、比較的撮ることが簡単だ。

 逆に先の例のようにAV要素が強くなってくると、もうこれは完全に「できる女優」、「できる男優」をブッキングしなければ、お話にならない。素人同然のキャストでは15分の映像を撮るのに1日中かけても現場が終わることはないだろう。

 しかし、そうなってくると当然できる出演者はギャラも高額になってくるし、そもそもオファーがしにくい。トップメンバーによる魅せるVRか、発想力を駆使した企画力のVRか。

 そういった「これからのVRAV作品」の方向性が見えるのもAVオープン2017の面白いところだろう。VHSがAVの発展で普及したように、一般の業界含めVRの普及にはこのAVでのVRの扱いが今後影響を与えていくのかもしれない。

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【大島薫】
作家。文筆家。ゲイビデオモデルを経て、一般アダルトビデオ作品にも出演。2016年に引退した後には執筆活動のほか、映画、テレビ、ネットメディアに多数出演する。著書に『大島薫先生が教えるセックスよりも気持ちイイこと』(マイウェイ出版)。大島薫オフィシャルブログ(http://www.diamondblog.jp/official/kaoru_oshima/)。ツイッターアカウントは@Oshima_Kaoru

提供/AVOPEN事務局




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