“魔法のじゅうたん”のランチの献立はチャーハンと餃子――フミ斎藤のプロレス読本#125【ECW編エピソード17】
―[フミ斎藤のプロレス読本]―
199×年
ランチの献立は、チャーハンと餃子だった。チャーハンの中身はスクランブル・エッグとこまかく刻んだ玉ネギと小エビで、餃子の具はハンバーガー・ミートと緑色野菜のみじん切り。
サブゥーの妃ミブゥーは、こんなに作っちゃってどうするんだろうというくらいの重量のチャーハンを中華鍋サイズのフライパンで炒めていた。フタをかぶせて中火にしてあるほうのフライパンが、餃子が焼けるときのパチ、パチという音を立てている。
日本式の間取りで考えると、ちょっと大きめの1LDKになるのだろう。基本的には自動車だから、前方はやっぱり運転席と助手席。そのすぐ後ろがリビングルーム・スペースで、そのまた後ろがキッチンとダイニングテーブル。
リビングルームには進行方向から左サイドに3人がけのカウチ、右サイドにゆったりサイズのアーム・チェアがふたつ、おたがいに向かい合って座れるように並べられている。ビデオデッキ内臓のテレビとステレオもある。
キッチン・スペースにはシステム流し台、上下の収納カバー、電子レンジ、グリル&オーブン、換気扇、ちゃんとした大きさの冷蔵庫などがコンパクトにレイアウトされていて、反対側には4人がけのダイニングテーブルが作り付けになっている。
まわれ右をしてそのまま車両の後方に向かって歩いていくと、左側にシャワー室、右側にトイレがあって、いちばん奥の3畳間くらいの空間がベッドルームになっている。ふつうの生活に必要なものはなんでもそろっている。
食事の準備ができたと思ったら、いつのまにかロブ・ヴァン・ダムと悪党マネジャーのビル・アルフォンソが勝手に家にあがってきてダイニングテーブルについていた。きっといつもこうなのだろう。
ミブゥーは人数分のお皿、ナイフ、フォーク、スプーンを手ぎわよくテーブルに並べた。イングリッシュ・ランゲージには“いただきます”も“ごちそうさま”もない。チャーハンはフライド・ライスである。
サブゥーとミブゥーは、週のうちの4日間くらいをこのモービルホームで過ごしている。ECWのツアー・スケジュールは金、土、日のウィークエンド集中型だから、木曜の夜にミシガン州ランシングの自宅を出発すれば金曜の午前中にはだいたい目的地にたどり着く。
1
2
⇒連載第1話はコチラ
※斎藤文彦さんへの質問メールは、こちら(https://nikkan-spa.jp/inquiry)に! 件名に「フミ斎藤のプロレス読本」と書いたうえで、お送りください。
この連載の前回記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ