ニュース

「新宿には女性が落ち着ける場所がまだ少ない」都内一等地にツタヤが新業態のビルを作った理由

6階は「女性専用フロア」

 5階にあるのはグランピングをイメージしたスペース。人工の芝生が敷き詰められ、テントや巨大クッションなどゆっくり寝転んでくつろぎたい人や、友人と語らい合ったりしたい人にオススメだ。さらに奥にはシャワールームもあり、1回1人500円で利用可能だ。
新宿ミニムビル05

5階グランピングをイメージしたスペース

 6階は「女性専用フロア」。靴を脱いで、リラックスした状態で長時間過ごせるようになっており、パウダールームでは男性の目線を気にせずメイクを落とすこともできる。

宣伝計画は「代官山蔦屋書店」を踏襲

 新宿の一等地にツタヤがここまで大きなくつろぎの空間を作ることの狙いとはいったい何なのか? 株式会社TSUTAYAの広報・多田大介さんに話を聞いた。 「弊社の自社調査では、新宿エリアにはくつろぎの空間が求められていると分析しています。バスタ新宿のオープンにより、新宿に訪れる地方からのお客様も増えており、24時間営業で、サラリーマンの会議やプレゼンの資料作りにも活用いただけます。また、新宿には女性が落ち着ける場所がまだ少なく女性専用フロアを用意したのもそのためです」  たしかにカフェ難民や帰宅難民などにとっても、非常に便利な建物だ。しかし開店直後にもかかわらず、客足はなぜかまばら。そういえば、ここまで大規模なオープンにもかかわらず、ホームページやSNSなどでの宣伝、あるいは広告活動が一切見当たらない。 「当該店は立地が良いので、たくさんのお客様に利用していただけることが予測される半面、新たな取り組みであるため、これからスタッフのオペレーションにまだまだ準備が必要だと思われ、当面のリリースなど広報活動を控えております。7、8階フロアのレストランが営業開始する、12月中に正式オープンを予定しております」(多田さん、以下同)
新宿ミニムビル06

フロアごとに書籍売り場も設けてある

 もともと同じグループの「代官山蔦屋書店」もグランドオープンの際に大規模な告知や、マスコミ向け内覧イベントは控えていた。新宿の同店も口コミによって徐々に認知されてゆくと思われる。また、公表はしていないものの、具体的な利用者数の目標もあるという。 「弊社としても本を軸としたくつろぎの空間と、ワーキングスペースをコンセプトとし、BOOK&CAFÉやコワーキングスペース、またリラックスできる個室やパブリックスペースの運営は初めての試みであるため、しばらくは同店のサービス拡充に努めていきたいと思っております。  TSUTAYA BOOK APARTMENTの業態はそれぞれの街のニーズにあった形にカスタマイズをしなければ成り立たず、同じ形でどこでもできるような業態ではない。しかしながら、ニーズがあるようなら、それぞれの場所にあった形にカスタマイズして挑んでいきたいです」  利用料金は1時間、1人500円と格安。立地も新宿の中村屋やビックロの並びと超一等地にあるため、一般に認知されるのも時間の問題だろう。  利用料金のほか、オプション料金として女性専用フロア100円/回、個室(ブース)利用料500円/回、ルームウェア1000円/着などがある。また、無料で1人1回iPadの貸出も行っている。  シャワー付きの6時間2800円パックや、12時間5500円パックなどのプランも用意されているほか、1階のファミリーマートや3階のスターバックスで購入した飲み物を持ち込むこともできる。  単なる作業場としてだけでなく、新たな文化施設として今後ブームになりそうな予感もある。新宿に訪れた際は一度、立ち寄ってみてもいいかもしれない。 <取材・文/井野祐真(本誌)>
1
2
おすすめ記事
ハッシュタグ