雑学

なぜ“時代遅れの服”が生まれるのか? 5日間で3237万円を集めたアパレル社長が語る「ここがヘンだよ、日本のアパレル業界」

 「服選びで悩んだことがない」

 そう胸を張って口にできる男性は多くはないだろう。

 今年のトレンド、サイズ選び、価格……。さらにショップに足を運べば執拗な接客を受ける。かと言ってネットショップは自分に似合うのか判断できず、何かと不安。

 さらに近年は、IT企業を中心にオフィスカジュアルが浸透していることもあり、私服だけでなくオフィスでもどのような服装をすればよいのかわからない。

 ここ数年、ネットニュースで多く見かける「服選びのコツ」をテーマにした記事は、そんな“ファッション難民”の多さを象徴しているのかもしれない。

「ハレ着だらけ」のアパレルショップ


木村昌史氏

 こうした“ファッション難民”が増え続ける原因は、服を着る男性側ではなく、「アパレル業界の都合によるところが大きい」と語るのは、10年以上アパレル業界に携わり、今年アパレルメーカー「ALL YOURS」を起業した木村昌史氏だ。

「アパレルショップの大半が提供しているのは、ハレ着。しかし、中年男性を含む多くの日本人に本当に求められているのは、トレンドに左右されずに休日に着れたり、オフィスカジュアルのように毎日着れる日常(=ケ)の服ではないでしょうか」

 そこで木村氏が最初に手がけたのが、「水を弾くコットンパーカー」。これは、パーカーのデザインに対して彼が感じた素朴な感情がベースとなっている。

「パーカーってフードがついてるじゃないですか。あれって、もともとは雨が降ってきたときに濡れないためについているものです。でも、ほとんどのパーカーは水に濡れちゃいます。これってパーカーの本来の役割を果たしていないわけです。そもそも、雨が降ってきた時に、傘と雨合羽以外で雨を防ぎようがないという事態が長年続いているのはおかしいと思ったんです」


 そこで、同メーカーが大手クラウドファンディングサイトのMakuakeで「水をはじくコットンパーカー」の出資を募ったところ 、目標額100万円に対し約398万円が集まり、即完売。

「MAKUAKE」より

 現在、同社は未上場株式投資型クラウドファンドのFUNDINNOで出資を募り、新たな製品を開発している。こちらはMakuakeとは違い、上場前の未公開株に個人が出資できるクラウドファンドだ。ここでもわずか5日間で約3237万円と、多くの出資が集まったことから、「長年アパレル業界に疑問を感じていた消費者はかなり多いと思う」と木村氏は語る。

5日間で約3237万円が集まった(FUNDINNOホームページより)

 では、アパレル業界とは何がおかしいのか。

 長年業界に携わってきた木村氏に、アパレル業界のおかしな慣習を解説してもらった。

アパレル業界のおかしな慣習1:消費者にリアリティのないマーケティング


「グッチやルイ・ヴィトンなどのハイブランドだけでなく、ユニクロやZARAなどのファストファッションも、そのほとんどが外国人がモデルになっていますよね。でも、それってどこまで消費者の参考になっているのでしょうか。モデルはスタイルもいいし、カッコよく撮られているし、リアリティがないでしょう。

 店内の装飾もそうです。暗めの店内で間接照明を当てれば、商品は必然的にキレイに映ります。しかし、それは家に持ち帰った時に多かれ少なかれ、ギャップを感じることを意味します」

 木村氏いわく、アパレル業界は長年「服を買う」という行為を非日常なものとして消費者に提供し続けてきたという。

 だが、買った服を着る場所は、店内ではなく、普段の日常生活に他ならない。ならば、モデルも、商品の見せ方も“日常”でなければならない。そう考えた結果、彼は自社製品のモデルを社員か実際に服を買った客にしているそうだ。

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不透明に決まるトレンド

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