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三菱商事、東芝、メガバンク…大手企業を辞めた20代若手社員はどこに消えたのか? 先端テクノロジーに惹かれる若者たち

 現在、経営再建中の東芝。先日は同社が約48年続けたアニメ「サザエさん」の番組スポンサーを降板することが話題になったばかりだ。また、今月14日にはついにテレビ事業からの撤退を発表。全額出資小会社の東芝映像ソリューションの株式の95%を、中国の家電メーカー海信集団(ハイセンス)に約129億円で売却することが発表された。  東芝にかぎらず、かつて隆盛を極めた日本の家電メーカーが、2010年代に入り軒並み業績が悪化していることは連日ニュースを賑わせていることからも明らかだ。そうした背景もあり、20代の若手社員の中には、新卒入社から10年以内で転職しているケースも珍しくないという。  実はいま、家電メーカーにかぎらず、大学生の就職人気ランキング上位の総合商社や金融業界においても、若手人材の流出が止まらないのをご存知だろうか。

30歳で年収1000円超を捨てて転職

「南米某国の駐在先でかなり実績を残したこともあり、調子にのっていたと言えば確かにそうかもしれません。駐在先のチームの10歳年上の上司にかなり歯向かっていたら、東京の本社に戻ったタイミングで干され部署に異動しました。転職を決めたきっかけです」  そう語るのは、三井物産を3年前に退職した30代男性A氏。三井物産といえば、平均年収1361万円の高年収企業として知られる(四季報調べ)。就活生が選ぶ人気企業ランキングでも毎年上位にランキングする常連企業だ。事実、A氏も30歳の時点で年収は1000万円を突破していた。 「一度別業界の大手企業に転職しましたが、いまはスタートアップで働いています」  A氏のように、日本の大手企業の保守的な体質や不自由さに嫌気が差し、彼らの親世代が好む大手企業を飛び出す若手社員がいま珍しくないのだ。  では、彼らはどこで働いているのか。  転職先の一つが、FinTech系のスタートアップ企業だ。

株式会社SKR・高島宏行

「うちは簡単にいえばメーカー問屋。大手メーカーが製品していないニッチな部分やloT家電の製品化を得意としています。生活家電の問屋として家具・雑貨大手チェーン店やGMS・HC・家電量販店に商品を卸しています。いわゆる有名企業からの転職組はかなり多いですよ」  そう語るのは、株式会社SKRの流通事業部部長・高島宏行氏。  2014年に創業した同社は、初年度の売上1.8億円から販路を拡大し、今期売上は12億円になる見込み。最近ヒットしたのは、PICというGoProの簡易版のようなカメラだ。ペットの首輪につけたり、赤ちゃんのガラガラにつけると、これまで見れなかった世界を収めることができる。  同社が市場調査を兼ねて、製品購入型で出したクラウドファンディング「Makuake」でのプロジェクトではわずか35日で予算達成率300%を上げた。その後、大手家電量販店やカメラ店など、全国で販売を進め、わずか数か月で企画数全てを完売したという。 先日も、投資型クラウドファンド「FUNDINNO」で3000万円の募集を開始。募集は現在も継続中だが、すでに2900万円以上の出資を集めている。

FUNDINO(日本クラウドキャピタル社)ホームページより

 では、なぜ大手企業出身者がスタートアップに集まるのだろうか。年収以外の大きな魅力がそこにはあるということだろうか。
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総合商社出身のチームだからできたプロジェクト
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