北斗晶の「このトシだもん、恋をしたっておかしくないじゃん」――フミ斎藤のプロレス読本#141[ガールズはガールズ編エピソード11]
“イエスYES”の返事をしたあとも、待てよ、これでいよいよほんとうにプロレスができなくなるのかな、と真剣にあせった。
結婚をすること。プロレスをつづけること。このふたつを両立させる方程式がなかなか浮かんでこなかった。健介のリアクションはこうだった。
「どうしてひとつじゃなくちゃいけないんだ。オレは両方とるよ。お前も、両方つかめ」
北斗と健介は、やっぱりプロレスをまんなかに置きながらおたがいのことを知ろうとしている。東スポにスクープが載ったことで、あちらこちらでちょっとずつ人間関係がギクシャクしてしまった。
でも、そういう付き合いの知り合いは、はじめからその程度の付き合いでしかなかったのだ、ということもだんだんわかってきた。
「お騒がせオンナのままでいいんだよね」と北斗はため息をついた。
サイン会の仕事で名古屋へ行ったら、佐々木健介やパワー・ウォリアーのTシャツを着た男の子のプロレスファンから握手攻めにあった。健介の大ファンだという女の子のファンからも「おめでとう」をいわれた。
自分たちの婚約はみんなを喜ばせている。北斗は、やっと「これでよかったのかな」という気持ちになりはじめている。
もうこうなったら健介のテーマ曲でリングになだれ込んでいって、ストラングル・ホールドでもやってやろう。健介がノーザンライト・ボムを使ったっていい。
佐々木健介は男性ファンに支持されるプロレスラー像の完成をめざし、北斗は北斗でこれからも女性にとってあこがれの対象でありつづけるだろう。
ふたりがニコニコしていると、みんなもニコニコしたくなる。幸せはシェアするものだ。
このトシだもん、恋をしたっておかしくないじゃん、である。
※文中敬称略
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文/斎藤文彦
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